ロシア韓国人襲撃:容疑者の検挙は「誤報」

ロシア警察、検挙は「事実無根」

 今月7日、ロシアに留学中の韓国人学生Sさん(29)が、首を刃物で切り付けられ重傷を負った事件で、ロシア当局は今月9日、韓国政府に対し、「容疑者二人を検挙した」と通知したが、10日になって「すでに検挙したのではなく、近いうちに容疑者を検挙できると確信している」と訂正した。韓国人に対する襲撃事件が相次ぎ、ロシアに滞在する韓国人や韓国政府が緊張を強いられている中、ロシア当局が捜査に関する基本的な情報を間違って伝えたことは、外交上の礼儀を欠く行為だ、との指摘も出ている。

 ロシアの治安当局はこの日、在ロシア韓国大使館に対し、「まだ容疑者を逮捕したのではない。容疑者二人のモンタージュが完成した段階で、近いうちに検挙できるものと確信し、最善の努力をしていく」と説明した。だが、ロシア側は前日、コンスタンチン・ブヌコフ駐韓大使を通じ、韓国の外交通商部に「容疑者二人を検挙した」と知らせていた。外交部がブヌコフ大使を呼び、遺憾の意を伝えた場でのことだ。しかも、ブヌコフ大使は、「特に韓国人を狙った犯罪ではないと認識している」として、容疑者の逮捕を前提としているかのように、事件の性格についても説明した。ロシアの警察は、排外主義者による犯行の可能性が高いとみているとされるが、これとも異なる認識を示したというわけだ。

 韓国政府がロシアの警察に対し、容疑者の検挙の有無について再度確認したのは、前日にブヌコフ駐韓大使が、容疑者の検挙について通知した後、現地の警察から「容疑者二人を検挙したというのは事実無根だ」という話が出ていたためだ。このため外交部は、事実を確認するため奔走したが、深夜になってようやく事実を確認できたという。なお、政府の関係者は、「ロシアの駐韓大使と外交部の間で、通訳の問題はなかった」と語った。

 一方、ブヌコフ大使と現地の治安当局の間で、事実を伝える過程で問題が生じた可能性もある。また、外交関係の消息筋は、「韓国政府を安心させようと、駐韓大使がやや誇張した表現を用いた可能性もあるが、故意ではないと考えられる」と話した。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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