統制権:米国で移管延期論相次ぐ

 2012年4月17日に予定されている韓国軍への戦時作戦統制権の移管を再検討するか、あるいはその時期を延期すべきという声が、米国国内で相次いで聞かれるようになった。

 米ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン研究員は、統制権の移管決定そのものが誤りだったと述べた。オハンロン氏はロサンゼルス・タイムズに対し、「(指揮体系を)分割せよ、そうすれば征服されるだろう(Divide, and be conquered)」という見出しの記事を寄稿し、10日にはブルッキングス研究所ホームページにも掲載された。ブルッキングス研究所は、オバマ政権の政策に大きな影響力を持つシンクタンクだ。

 オハンロン氏は、2012年4月に予定通り統制権が移管された場合、韓米両国がそれぞれ異なった指揮体系を持つようになるとして、「基本的に(韓米両国のこれまでの)指揮部を分割するという概念は事理に合わない。これは当然廃棄すべき考え方だ」と訴えた。

 さらに、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権で統制権の移管問題が議論されるようになった背景について、異常なものだったと指摘した。ブッシュ前政権時代にラムズフェルド国防長官(当時)は、米国の外交構想に反対する盧前大統領に失望し、韓米同盟を弱体化させ、軽視していることを見せつけるために統制権問題を利用したという見方を示した。当時、米国との摩擦が多かった盧前大統領も、韓国の主権を進展させるようにも見えるこの計画に力を入れたと分析した。

 オハンロン氏は現在のオバマ大統領と李明博(イ・ミョンバク)大統領との信頼関係は確かなものだと判断した上で、「統制権移管の時期を延期するか、あるいは根本から再検討し、同盟関係の信頼および成熟の証として位置づけるべきだ」と主張した。

 米海兵参謀大学のブルース・ベクトル教授も、韓国軍が北朝鮮の非対称戦力に十分に対応できるようになるまでは、統制権の移管を延期すべきと主張した。ベクトル教授はアジア財団韓米政策研究センターを通じて発表した寄稿文で、「高度に進化した北朝鮮の脅威を韓国軍が抑止、撃退するには、やはり米軍の力に大きく依存せざるを得ない」として、統制権移管延期の必要性を強調した。

 韓米経済研究所(KEI)のジャック・プリチャード所長は本紙とのインタビューで、「現在、統制権の移管が順調に進んでいるため、もし延期するとしても、米国は1年だけにするだろう」と予想した。プリチャード氏はまた、「韓国では統制権移管に反対する署名が人口の20%に当たる1000万人に達していると聞いた。米政府はこれを完全に無視することはできないはずだ」と述べた。

 プリチャード氏はさらに、「来年になってから統制権移管延期の決定を下すのは、時期的に非常に遅い。今年中に決定を下すべきだ」と訴えた。一方、韓国が統制権問題の再協議を求めた場合、米国はその見返りを求めるのでは、という一部の見方については、首を横に振りながら「それはオバマ政権の考え方とは異なる。米国が統制権移管延期の見返りを求めるとは考えられない」と述べた。

ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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