釜山少女暴行殺害:キム・ギルテ容疑者の素顔(中)

 1993年に釜山の商業高校に進学したキム容疑者は、同年10月に自ら退学を届け出るまで、約40日間欠席した。担任教師は退学関連書類に「怠慢による欠席」と書いた。キム容疑者は退学届に「勉強したくないため」と理由を記した。知能検査の結果は、中学時代が85、高校では86だった。しかし、真面目に受けた検査の結果ではなかった。退学した高校1年当時の成績はクラスの49人中最下位だった。一方で、スポーツは得意だった。中学2年以降の体力測定は「1級」か「特級」で、教師らによると、機敏で足が速かったという。

 周辺の人たちが記憶するキム容疑者は孤独だった。高校を退学したキム容疑者は、釜山市沙上区徳浦洞で屋上の小部屋に引きこもって日々を過ごした。屋上の手すりに寄りかかって、たばこを吸う姿がたまに目撃されるだけだった。

 キム容疑者は96年に暴行事件を起こし、少年院に入った。その後、キム容疑者は33年間の人生の11年間を刑務所で過ごした。刑務所内では独りでぼうっとしていることが多かった。たまに暴力的な一面を見せ、規律違反で7回の懲戒処分を受けた。精神疾患者と見なされ、特別治療施設がある晋州刑務所(慶尚南道)に2年間収容されたこともある。

 出所後の97年には、9歳女児に対する性的暴行未遂事件を起こし、再び3年を獄中で過ごした。再出所後のキム容疑者はさらに引きこもるようになった。何日も部屋から出てこないこともしばしばだった。母方の親族は「友人はもちろん、親族との交流もほとんどなかった。姉とも音信不通で、姉の子供たちの顔も見たことがなかったはずだ」と語った。

 京畿大犯罪心理学科のイ・スジョン教授は「独りで引きこもり生活を送りながら、欲求を満たすためにの犠牲者を求め、残忍な犯行を犯す典型的なプレデター(捕食者)型犯罪者だ」と指摘した。李教授は「獲物がいれば年齢を問わず、場当たり的に攻撃する最も危険なタイプだ」と指摘した。キム容疑者は両親や周囲の人々との十分な人間関係を形成できず、学校も中退し、社会的関係を形成する重要な手段を失った孤独な存在となり、そうした性格的傾向が増幅されたとみられる。

 昨年6月に出所し、引きこもり生活を送ってきたキム容疑者は、密かに「獲物」を探して町内を歩き回った。そして、誰に制止されることもなく、少女が犠牲になってしまった。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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