釜山少女暴行殺害:被害者の死亡時刻は?

主に直腸の温度で計算、遺体の死斑や腐敗の状態でも推定

 殺人の被害者の死亡時刻を推定するに当たっては、「直腸温度測定法」が主に活用される。温度計を直腸に差し、3分後の測定値を「モリッツ公式」に代入する。基準体温(37度)から直腸の温度を引いた値を0.83で割り、冬ならその値を0.7でもう一度割る。冬場に、外部の気温が7度ほどで直腸の温度が14度なら、死亡から30時間が経過したと考えられる。

 遺体に出現した斑点(死斑)や、遺体の硬直(死後硬直)の程度、腐敗の状態などから死亡時刻を推定することもある。死亡後10-12時間が経過すると、目の角膜が霧のように混濁し、30時間が経過すると、顎(がく)関節の硬直が緩み始める。2-3日たつと、へその周囲や股間部の皮膚が変色し、腐敗水疱(すいほう)が生じる。

 遺体にたかるハエやウジも、死亡時刻を推定する手掛かりになる。夏なら死亡後12-16時間が経過すると、ハエの卵がウジになるが、秋にはこの変化に24時間を要する。飲食物の消化の程度を活用することもある。胃や十二指腸が完全に空なら、直前の食事から少なくとも6時間が経過していると考えられる。

 キム・ギルテ容疑者(33)によって誘拐・殺害されたイ・ユリさん(13)の死亡時刻について、国立科学捜査研究所の徐中錫(ソ・ジュンソク)法医学部長は、「遺体が発見された場所の気温や湿度、日照量、風通しなど数千種類の条件があり、腐敗の状態だけを見て死亡時刻を即断するのはナンセンス」と語った。当時は寒く、雨も降っており、遺体が屋上の水タンクの中にあったことなどを十分に考慮しなければならない、というわけだ。

 徐部長は、「“房水(眼球内部を満たしている液体)検査法”は検査技術を開発している段階で、今すぐ捜査に活用するのは難しい。事件現場に対するより綿密な分析が行われて初めて、イさんの死亡推定時刻を絞っていくことができる」と語った。

チェ・ソンジン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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