裏金疑惑:金品提供めぐり証言を変えた郭泳旭氏(下)

 検察での聴取で郭元社長は、「韓元首相に直接手渡した」と証言しながら、法廷では「イスに置いてきた」と違う内容の証言をしたことについて、韓元首相が所属する民主党と弁護士は、「韓元首相による5万ドルの収賄容疑を否定できる材料」と認識している。

 郭元社長は5万ドルを渡した当時、韓元首相が着ていた服や昼食を取った部屋の家具の配置などについては、「記憶がない」と法廷で証言した。郭元社長は心臓疾患を抱えており、法廷で「検察での聴取は深夜1時、2時まで続くこともあった」と述べた。ここから弁護士側は、郭元社長に対して検察は強圧的な捜査を行ったと主張している。

 しかし検察は、「収賄事件では供与した側の証言が少しずつ変わることはよくある。しかし、5万ドルを渡したという部分については、郭元社長の証言内容は変わっていない。そのため特に変わりはない」と主張した。検察幹部は「イスの上に置いてきたという証言の方が、むしろはるかに信憑性がある。いわゆる“朴淵次(パク・ヨンチャ)ゲート”のときも、朴淵次・前泰光実業会長は“金を置いてきた”と何度も証言し、1審で有罪判決を受けた」とコメントしている。「強圧的な捜査」があったかどうかについて、郭元社長は、拷問や脅迫などを受けたと言っているわけではなく、「最初は3万ドルを渡したとウソの証言をしたが、聴取が続く中で体調も悪くなり、死ぬかも知れないと思い、(渡した額を5万ドルに)変えた」と証言した。

 一方、韓元首相の弁護人はこの日の公判で、「韓元首相が郭元社長とゴルフ用品店に同行したのは事実だが、ゴルフはやらないということで断った。しかし何度も勧めてきたため、ゴルフ用の帽子だけを手に出てきた」と主張した。検察は「2002年8月21日、韓元首相が女性部長官だった当時、郭元社長とソウル市瑞草区のゴルフ用品店に行き、日本製の最高級ゴルフクラブ998万ウォン(約80万円)相当をプレゼントしてもらった」と主張していた。

李明振(イ・ミョンジン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る