「新交通システムの展示場」と化した韓国(下)
これに対し専門家たちは、路線ごとに運行方式や車両メーカーが異なることで互換性が低下し、故障した場合の対処が難しくなったり、維持補修費が膨れ上がったりして、予算の無駄遣いを招く恐れがある、と指摘している。韓国鉄道技術研究院のリュ・サンファン新交通システム研究部長は、「都市の状況に応じ、新交通システムの運行方式などが異なることはあり得るが、現在のように外国製の車両をなりふり構わず導入すれば、必要以上に維持補修費がかかることが避けられない」と語った。
例えば、韓国製の車両を使用する場合、年間の維持補修費は1キロ当たり3億2000万ウォン(約2600万円)程度だが、外国製の車両を導入すると4億8000万ウォン(約3800万円)となり、年平均で27億ウォン(約2億1600万円)の費用が余計にかかる、とリュ部長は指摘した。車両の部品も路線によって異なるため、急に故障した場合に調達が困難なほか、韓国の車両メーカー、部品産業の発展を阻むことにもなりかねないという。
韓国鉄道大学のキム・チョルス教授は、「各自治体が、効率性などは二の次とし、何か新しい方式を導入することで、先進的な取り組みをしているというイメージを住民たちに与えようと考えているようだ」と指摘した。各自治体が「先進的な技術の導入」「韓国初の方式」といったことに執着する傾向があるというわけだ。また、新交通協会のチェ・ウンヨン事務局長は、「韓国にも新交通システムの車両メーカーは登場しているが、これらのメーカーが性能や安全性を認められる前に、外国メーカーが韓国市場を独占する恐れもある」と語った。
現代ロテムの関係者は、「わが社は今、カナダやフィリピン、トルコなどに新交通システムの車両を輸出するなど、競争力を有している。国家戦略的な視点に立ち、交通体系を考慮しつつ、車両を選ぶのではなく、地方自治体が地域の事情に合わせ、事業提案者の話だけを聞いて判断するため、このような結果を生んでいる」と指摘した。
専門家たちは、新交通システムの整備事業が、5000億-2兆ウォン(約400億-1600億円)もの費用がかかる超大型プロジェクトであるにもかかわらず、各自治体がバラバラに進めるのを放置していることに問題がある、と指摘する。これに対し、国土海洋部の関係者は、「新交通システムの運行方式や車両メーカーの選定を、完全に自治体任せにせず、中央政府や専門家を交えた委員会で決定するようにし、車両の主な部品を標準化するといった案を検討している」と話している。
キム・ミンチョル記者
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