韓国で論文執筆代行業の競争激化(上)

インターネットの掲示板で取引、依頼後10日で論文到着

合格不可能な「つぎはぎ論文」も

「土木工学科の博士論文(を代わりに書いてくれる方)が必要です。社会人のため時間がありません。テーマは水質汚染総量管理(TMDL)。予算は300万ウォン(約23万円)程度です」

 先月20日、あるインターネット・ポータルサイトで「論文代行」と検索した結果、P知識取引サイトでこのような書き込みを見つけた。このサイトだけでも、学士・修士・博士論文を代筆してほしいという書き込みが54件もあった。サイトの1番下には、電話で依頼可能な顧客センターの電話番号が書かれていた。論文を他人が書くことは明らかに違法行為だが、「学問の良心」を売る違法行為がインターネットの仲介サイトを通じ、事実上公然と行われていた。

■最後までアフターサービス

 取材チームは先月5日午前11時ごろ、経営学科の学士論文(卒業論文)代筆者を求めるという書き込みをPサイトに載せてみた。最初の申し出が舞い込むまでに、5時間もかからなかった。「地方国立大工学部卒、国立大教育学修士、地方国立大博士修了」という学歴の紹介と共に、「低価格で最高の品質に仕上げます」という親切な案内まで添えられていた。1週間以内に、さらに4件の申し出が入った。価格は12万ウォン(約9300円)から20万ウォン(約1万5400円)だった。

 取材チームは、その中から「価格の交渉可能」と申し出たキム氏に論文の代行を依頼することにし、Pサイトに電話をして連絡先を尋ねた。取材チームがPサイト側に、キム氏は信用できる人物かどうか尋ねると、担当者は「代筆作業は企業の研究所や大学の研究員たちが副業としてやっているため大丈夫」と安心させた。記者が「念のため契約書を書いてほしい」と求めると、「契約書が欲しければ作成するが、通常は書いていない」と不満そうだった。

 先月9日午前10時30分、キム氏に電話をしてみると、「(依頼された)論文を書くために徹夜した」と寝起きの声で電話を受けた。交渉の末、20万2000ウォン(約1万5500円)を支払うことで合意した。2000ウォン(約150円)は付加税だというが、サイト側に2万ウォン(約1500円)を手数料として支払い、さらに税金まで払わなくてはいけないという。

 取材チームが「論文の代筆は違法行為ではないのか」と尋ねると、キム氏は「論文執筆課程で依頼人の意見が反映されるため、100%代筆ではなく、法的な問題はない」と答えた。さらに、テーマすら決めていないという取材チームに対し、30分以内に二つのテーマを送ってきた。

 論文の初稿は、当初約束した先月17日午後2時、最終論文は同20日午前8時37分に到着した。キム氏は、気にいらなければ1年でも10年でも無期限でアフターサービスを行うという約束までした。キム氏が送ってきた論文を中央大学産業・創業大学院のパク・ジェファン教授に依頼し、分析してもらった。パク教授は「つぎはぎ論文の典型だ。指導教授がまともに読めば、絶対に合格させられない水準だ」と話した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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