韓国で論文執筆代行業の競争激化(下)

■社会人大学院生が主な顧客

 インターネット上の論文代筆の価格の相場は、学士が20万ウォンから30万ウォン(約2万3100円)、修士は100万ウォン(約7万7100円)、博士は300万ウォン(約23万円)程度となっている。ポータルサイトに論文執筆代行を目的として開設されている掲示板だけでも、30件以上に上った。論文執筆代行は、以前は個別に内密に進められたが、最近は3、4人の専門家が小規模なグループを作り、業者と提携して本格的な「受注」に乗り出している。

 企業形態にまで成長した代行会社も登場した。幾つかの小規模グループを集め、経営・法学・教育など各分野別に顧客の注文を受けた後、手数料で利益を得るというものだ。A論文代行業者の代表は、「ほかの代行業者の優秀なフリーランサーをスカウトすることもある。業界ではすでに激しい競争が始まっている」と話す。

 論文執筆代行業は、特に早期退職が主流となりつつある中、第2の人生を夢見る社会人大学院生の増加とともに、さらに勢いを増している。退職後、大学の講師を目指すパク氏(47)は、最近、京畿道地域のある私立大学の夜間大学院の博士課程に通っている。授業は、最初の学期だけ顔を覚えてもらうために週1回程度出席し、その後はほとんど出席していない。教授らも事情を考慮してくれる。パク氏は「論文が悩みの種だったが、代行業者に依頼しようと思う。どうせ大学院は学位を形式的にくれるから、代筆してもらっても特に問題ないだろう」と話す。

 忠清南道のある大学のベンチャー専門大学院の修士課程に在籍しているというユン氏は、自分の身分まで明かして論文執筆代行サイトに書き込み、代行者を探した。「論文の1次審査後、教授が指摘した内容やアドバイスを受けた内容を一緒に送るので、これに合わせて修正してほしい」という依頼だった。ユン氏の所属大学・学科・指導教授名などを確認した結果、すべて事実だった。論文代筆は違法性があるのにもかかわらず、ポータルサイト運営者らは広告収入のため、代行業者をスポンサーリンクの上段に堂々と載せている。教育科学技術部の大学院支援課も、「陳情があれば、そのたびに監査を行うことはできるが、人員が足りないため、自主的に調査するのは難しい」と話している。

 ソウル大学法学部のイ・サンウォン教授は、「論文代筆が国立大で行われれば偽計による公務執行妨害、私立大では、偽計による業務妨害が適用される場合もある」と語った。

李仁烈(イ・インヨル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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