リーマン買収、バークレイズと野村は大もうけ(上)
2008年夏、韓国産業銀行の閔裕聖(ミン・ユソン)銀行長(頭取)は飛行機で米国に向かった。休暇名目だったが、実際は、財務状況が悪化した米投資銀行リーマン・ブラザーズの買収交渉を行うためだった。産業銀とリーマンは秘密裏に数回の交渉を行った。リーマンが資金難に陥っていることを知っていた閔銀行長は、かなりの安値を提示した。リーマンのファルド会長はそれにプライドを傷つけられ、絶対に売れないと反発した。価格面の折り合いが付かず、結局交渉は決裂した。結果はファルド会長の判断ミスだった。
リーマンは産業銀からの出資受け入れ失敗以降、資金確保のめどが付かず、同年9月15日に破産を申請した。158年の伝統を誇るリーマンは、一夜で空中分解した。その後、本格的な金融危機が始まった。破産後のリーマンの米事業部門は英バークレイズが、欧州・アジア・中東部門は日本の野村ホールディングスがそれぞれ買収した。産業銀と買収競争を繰り広げたバークレイズは、産業銀の買収断念以降も最後まで交渉を継続し、買収に成功した。
世界の金融市場では当時、「天才的な取引だ」と評価する声と、「ギャンブルだ」とする批判が入り乱れた。買収から1年4カ月が経過した現在、バークレイズと野村はどう変わったのか。
■バークレイズ、リーマン買収で大幅増益
2月17日のニューヨーク株式市場は1.7%の大幅高となった。バークレイズの決算発表が株価上昇のきっかけだった。
バークレイズは世界的な金融危機の後遺症があったにもかかわらず、09年に116億4200万ポンド(約1兆6400億円)の最終利益を上げたと発表した。08年の60億7700万ポンド(約8600億円)に比べ、利益がほぼ倍増だった。
不良資産の増加で、英国や新興市場など大半の部門の実績は不振だった。それでも利益倍増を達成できたのは、リーマンの北米事業を買収したバークレイズ・キャピタルが好業績を記録したためだった。
バークレイズの投資銀行部門のバークレイズ・キャピタルは、ニューヨークのマンハッタンにあるリーマンの高層ビルをはじめ、米国での証券部門を約17億ドル(約1550億円)で買収した。そのおかげで、バークレイズ・キャピタルは昨年、全事業部門で大幅な伸びを達成。債券、為替、商品先物で売上高が76%伸び、株式、不動産ローン、投資銀行の各部門も売り上げが2倍以上に増えた。
バークレイズは09年の事業報告書で、「昨年、グローバル市場でバークレイズ・キャピタルが好業績を収めた。特にリーマンを買収した北米地域で業績改善が目立った」と説明した。リーマン買収に伴う事業拡大と雇用増加で営業支出は75%増えたが、収益性はさらに改善したことが分かった。
ウォールストリート・ジャーナルは「バークレイズがリーマンを買収し、大もうけした」と報じた。シティグループの投資アナリスト、リー・グッドウィン氏は「バークレイズはリーマン買収で事業分野が多様化し、米国市場でも大きな影響力を持つようになった」と指摘した。
ウォールストリートの投資銀行業界で中堅だったバークレイズは、リーマン買収で一気に上位圏に躍り出て、米国での基盤を固めた。
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