リーマン買収、バークレイズと野村は大もうけ(下)
■米国市場を狙う野村
野村ホールディングスの渡部賢一・最高経営責任者(CEO)は昨年3月、「株主に申し訳ない」と謝罪した。破たんしたリーマンの欧州・中東・アジア部門を買収し、巨額の赤字を出したためだ。
しかし、それ以降のムードは一転した。野村は09年4-6月期に114億円、7-9月期に277億円の黒字を出し、渡部CEOは「リーマン買収で野村が真のグローバル投資銀行として一段階飛躍した」と評価した。
野村は2月2日、10-12月期にも102億円の最終利益を上げたと発表した。黒字幅は縮小したものの、3四半期連続の黒字だった。野村は「10年3月期は3年ぶりに黒字になる」との見通しを示した。英フィナンシャル・タイムズは「資本市場の世界的な回復とリーマン買収効果により驚くべき業績を収めた」と指摘した。
野村はこれまで日本では最大手として君臨してきたが、世界市場では「井の中のかわず」だった。アジアの投資銀行部門では善戦してきたが、世界的な投資銀行との競争では勝負にならなかった。しかし、リーマンを買収したことで、野村の地位は変わった。
野村の10-12月期の決算資料によると、投資銀行部門の世界シェアは08年末に1.5%にすぎなかったが、昨年末には5.2%へと上昇した。ロンドン証券取引所では、昨年末まで6カ月連続で株式取引のシェア1位を達成した。欧州地域の機関投資家を対象に市場分析能力に関するアンケート調査を行った結果、野村は昨年より8ランク上昇し、JPモルガン・チェースと並んで2位になった。
米経済専門局CNBCは「リーマンを買収した野村は、世界的な金融危機で最も利益を受けた企業の一つだ」と指摘。AFP通信も「野村がリーマン買収で世界的なプレーヤーへと躍進した」と評価した。
野村は現在、米国市場を狙っている。アジアの投資銀行部門を米国中心に再編している。昨年4月末時点で720人だった米国法人の従業員数を、今年3月末には約1600人に増やす計画だ。リーマン買収を契機に、長年の願いだったウォールストリートへの本格進出を実現しようとしている。
全洙竜(チョン・スヨン)投資チーム長(経済部)
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