記事入力 : 2010/03/07 12:57:44
【コラム】植林すると住民が死亡する北朝鮮(下)
さらに1990年代の食糧難後には、山を切り開いて畑を開墾することが生存のための手段となった。多くの山はすでに畑となり、深い山奥にも畑がどんどん開拓されている。山林保護員らは政府から大きな権限を与えられているが、いくら取り締まっても、住民にとっては生きるか死ぬかの死活問題のため、開墾による木材の伐採は深刻化する一方だ。
かつて、韓国政府が北朝鮮に対して植樹の支援を行うと提案すると、北朝鮮は「木を植えさせてやるから食糧をくれ」と要求してきた。これには韓国側もあぜんとした。韓国側が山林の緑化を双方の交流協力事業の一環として推進する、という趣旨は良い。しかし、これはおそらく税金を浪費するだけに終わり、結果的には北朝鮮住民の反発を招くだろう。現在、北朝鮮各地ではげ山と化した山々は、北朝鮮政府に緑化の能力がないために放置されているのではない。それよりも住民たちが飢え死にしないために木を伐採し、山の中に畑を作っているという要因の方が大きい。
食糧問題が解決しない状況では、山の中に作られた畑に木を植え、それを当局が監視、監督しようとすれば住民の怒りはさらに大きくなる。そのため北朝鮮の山林緑化を行うには、まず石炭などのエネルギー支援を先に行い、その上で木材の伐採を減らしていくことの方が先決だ。最終的に住民たちの食糧問題が解決すれば、山林の緑化も可能になるだろう。金正日(キム・ジョンイル)政権が態度を変えて改革・開放に乗り出すならば、食糧問題とエネルギー問題は直ちに解決するに違いない。北朝鮮のはげ山緑化事業は、金正日政権が変わらない限り、何の改善策も見出すことはできないだろう。
東北アジア研究所=姜哲煥(カン・チョルファン)研究委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) 2008 The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
- 【コラム】植林すると住民が死亡する北朝鮮(上) 2010/03/07 12:57:40
- 【社説】統制権と原子力協定、交渉で韓米同盟の成熟度示せ 2010/03/13 12:25:15
- 【萬物相】プロファイラー 2010/03/13 12:23:11
- 【コラム】フランスから見た「無償給食」騒動(下) 2010/03/12 17:09:52
- 【コラム】フランスから見た「無償給食」騒動(上) 2010/03/12 17:09:45
- 【社説】規制だらけの専門職、消費者にツケ 2010/03/12 07:21:13
- 【コラム】金総書記が咸興を訪れたワケ(下) 2010/03/11 15:06:31
- 【コラム】金総書記が咸興を訪れたワケ(上) 2010/03/11 15:05:59
- 【コラム】キム・ヨナを「ユナ・キム」と呼ぶワケ(下) 2010/03/11 12:03:31
- 【コラム】キム・ヨナを「ユナ・キム」と呼ぶワケ(上) 2010/03/11 12:03:23
- 【社説】英有名オーケストラ、ハンセン病施設で公演へ 2010/03/11 08:22:24