余裕資金積み上げる企業、不況招く要因に(中)

■余裕資金運用で利子を稼ぐ企業

 韓国企業のキャッシュフローは、韓国銀行の企業預金統計で知ることができる。昨年末現在で企業が銀行に預けている現金性資産は総額215兆ウォン(約16兆6000億円)。韓国の国内総生産(GDP)の21%に達する。2008年の177兆ウォン(約13兆6000億円)に比べ21%も増加した。これは2000年の26.9%増以来の伸び率で、増加額38兆ウォン(約2兆9000億円)は過去最高だ。企業の銀行預金は05年に14兆2000億ウォン(約1兆1000億円)、06年に11兆8000億ウォン(約9200億円)、07年には14兆3000億ウォン(約1兆1200億円)の伸びを示し、毎年10兆ウォン(約7700億円)を超える現金を積み上げている。

 企業は「不安な景気見通しを受け、(不況に備え)キャッシュフローを増やしているだけだ」とか、「次世代事業を発掘できる決定的な投資チャンスが到来したときに使うための実弾を積み上げている」などと説明する。

 しかし、そうした説明は説得力を欠く。昨年企業が預金した215兆ウォン(約18兆8000億円)のうち85%に当たる183兆ウォン(約14兆1000億円)が、1年物以上の貯蓄性預金(定期預金)に預けられているからだ。

 市中銀行の企業顧客担当者は、「定期預金は中途解約すると本来の金利の半分も受け取れない。資金担当者がすぐに使う資金を定期預金に預けるはずはない。企業が定期預金に預けた資金は、今後1-2年は使わない資金と見なすべきだ」と指摘した。

 企業は稼いだ資金を雇用創出や賃上げで国民に還元する考えを捨て去り、銀行に何年も資金を寝かせ、金利ゲームに没頭していることになる。企業の定期預金は世界的な金融危機に見舞われた09年に23%も増加した。景気が良かった06年の8.8%、08年10.9%よりも高い数値だ。

 韓国銀行の関係者は「企業が好業績で多額の現金を確保したことは評価すべきだが、現金を再投資せずに貯蓄していることは、韓国経済の中長期的な成長という観点から望ましくない側面が大きい」と話した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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