余裕資金積み上げる企業、不況招く要因に(下)
■国は富めど民貧し
企業の業績が良くなれば、GDPが増え、国も豊かになる。しかし、膨らんだ資本が企業に蓄積されるだけでは、国民は豊かな消費生活を送ることが困難で、「豊かな国の貧しい国民」が生まれるだけだ。
昨年の全国の世帯平均所得は4131万ウォン(約318万円)で、前年の4071万ウォン(約314万円)に比べ1.5%の伸びにとどまった。これは昨年の物価上昇率(2.8%)にも満たない数字で、所得増加率から物価上昇率を差し引いた実質所得増加率はマイナス1.3%だ。このため、所得は事実上減少したことになる。
特に正社員が減少し、非正社員が増える中で、所得減少の傾向はさらに深刻化している。統計庁によると、昨年の韓国の勤労者全体の平均月収は1年前より0.3%増えたが、非正社員の平均月収は約7%も減少した。
こうした状況では借金が増え、赤字が生じる状況は避けられない。昨年末現在の世帯当たりの負債は4337万ウォン(約334万円)で、前年末の4128万ウォン(約318万円)に比べ5.1%増加した。世帯当たりの所得から負債を差し引くと、206万ウォン(約16万円)のマイナスとなる。これは、1年間働いた収入を全部充てても借金を返済しきれないことを示しており、貯金の余裕など当然ない。経済協力開発機構(OECD)は、韓国の貯蓄率(貯蓄額を所得で割った数値)が今年は加盟30カ国で最低の3.2%になると予測している。
韓国労働研究院の関係者は「企業は投資と雇用拡大、適正な賃金引き上げで利益を国民経済に還元すべきだ」と述べ、「稼いだ資金を使わずに積み上げているだけでは、雇用減少、消費低迷、経済の活力低下が生じ、一層の雇用減少につながる悪循環に陥る可能性がある」と警告した。
専門家はこうした状況について、1998年から2002年にかけて日本経済が経験した状況と似ていると指摘する。当時日本企業はいわゆる「株主資本主義」を掲げ、稼いだ資金を企業価値を高めるという名目で再投資に充てるよりも内部留保や株主配当に回した。LG経済研究院のイ・ジピョン首席研究員は、「そのため日本では非正社員が増え、中産層以下の労働者の実質所得が減少し、日本経済が長期不況に陥る要因の一つになった」と指摘した。
チョン・チョルファン記者
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