民間交通インフラ事業、年間300億円の赤字補てん(下)

 こうした数値は、中央政府が事業を主導し、国費が投入された国家事業だけを対象にまとめたものだ。このほか、ソウル市が運営する牛眠山トンネルに08年までに415億ウォン(約33億円)が投入されるなど、地方自治体管轄の民間事業も含めると、赤字補てん額は今後さらに膨らむ見通しだ。

 補てん額が膨らみ続ける理由について、専門家は建設過程で道路・鉄道などの通行量予測を水増ししたためだと指摘する。韓国開発研究院(KDI)のキム・ガンス民間投資支援室長は、「過去には周辺の地域開発計画を誇張して予測に反映させたり、接続される交通インフラ計画を無条件で算入する形で、需要予測を膨らます傾向があった」と指摘した。

 民間資本を導入した道路では、実際の通行量が予測通行量の約80%に満たなかった場合に補償金が支払われるが、実際には通行量が予測の50%前後にとどまっているケースが多い。例えば、仁川空港高速道路の場合、08年の予測通行量は1日平均13万8930台だったが、実際にはその46.7%の6万4956台に低迷し、900億ウォン(約71億円)の補償金が支給された。

 こうした民間事業が金食い虫となっているとの批判を受け、政府は民間主導の事業で06年、政府公示事業で09年に最小運営収入保証制度を廃止したが、既に契約済みの補償金は負担が増え続けている。

 政府の負担は今後も増大する見通しだが、契約に従わざるを得ず、これといった対策がないのが現状だ。漢城大のペク・ソンジュン教授(不動産学)は「当初予測した需要があまりに現実と懸け離れている場合、該当業者と合理的な線で調整を図る必要がある。つぎ込む資金があまりにも膨らむ場合には、(政府が該当事業を買い取り、)公共事業に変更することも検討すべきだ」と指摘した。

キム・ミンチョル記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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