警察は拉致から二日後の先月13日、家族の捜索願いを受けて捜査に着手した。警察は「死亡したイさんの携帯電話の位置や移動経路と、キム容疑者兄弟の動きが一致する点に着目し、先月26日に同容疑者らを検挙した」と述べた。イ社長の遺体は今月6日午後、平沢湖の水底で発見された。

■社長夫人の紹介で就職したキム容疑者

　警察は、主犯のキム容疑者が2005年末から07年初めまで、イ社長の会社で運転手、ガードマン、管理職として勤務していたと発表した。

　調べによると、キム容疑者とイ社長の関係は05年10月に始まった。イ社長の夫人（43）がある食事会の場で知り合ったキム容疑者をイ社長に紹介して就職を依頼し、イ社長はキム容疑者を運転手として雇った。警察は「それ以降、キム容疑者とイ社長の夫人は内縁の関係に発展した。キム容疑者はイ社長の夫人に4000万ウォン（約320万円））を借り、イ社長の私生活を夫人に伝えていた」と説明した。

　イ社長は二人の関係を知り、夫人を監禁・暴行したとしてキム容疑者を告訴した。しかし、夫人が供述を変えたことで、キム容疑者の疑いは晴れ、キム容疑者は虚偽の告訴をしたとして、イ社長を逆告訴した。それ以来、キム容疑者はイ社長に恨みを抱くようになった。調べによると、キム容疑者は「イ社長はわたしを陥れて解雇した後、わたしを殺そうと1億5000万ウォン（約1200万円）で殺害を依頼したという話を聞いて、恨むようになった。金は二の次だった」と供述した。

　キム容疑者らは、イ社長から奪った3億ウォンのうち1億ウォン（約800万円）をキム容疑者兄弟に手渡し、残りの2億ウォン（約1600万円）は共犯者に分け与えた。これらの金は、ギャンブルによる借金の返済や生活費、遊興費に使われたという。

　警察は「キム容疑者が、“イ社長夫人が夫の殺人をわたしに依頼した”と供述していることから、この関連性についても捜査している」と説明した。

安山＝イ・ソクホ記者