【社説】地方選挙での公認制度が犯罪者を量産
6月2日に行われる地方選挙に向け、各党が公認候補の選定に取り掛かった。与党ハンナラ党は、今月8日までに公認審査委員会を立ち上げる予定で、野党・民主党は同じような審査委を先月からすでに発足させている。
今回の地方選挙では、広域的地方公共団体と基礎自治体の長、議員、比例代表、教育監、教育委員など八つの投票が同時に行われる。全国2297選挙区で3991人を選ぶ、過去に例のない大きな規模だ。一方、競争率も過去最高になるものと予想されている。各党からの公認を求める候補者が多いため、巨額の金が動いている、といううわさもすでに飛び交っている。
地方選挙とはいっても、大政党からの公認を受けられなければ当選はおぼつかない。そのため、候補者たちは選挙に先立って、まずは公認を受けることに全力を尽くす。慶尚北道では慶山市の元市長が党公認を確保するため、同地域選出の国会議員に7億ウォン(約5600万円)を支払い、清道郡の元郡首も同じように5億ウォン(約4000万円)を支払った。また、奉化郡首選挙では、該当地域選出の国会議員の秘書らに対し、公認を勝ち取るために動いてくれたとして、一人当たり5000万ウォン(約400万円)が支払われたという。これらはごく一部の事例に過ぎず、摘発されなかったケースまで含めると、公認を受けるためにやり取りされた額は想像もできない。自治体の長や地方議会議員の汚職の件数は、「金による公認」「金による選挙」の件数と比例する。金で公認を買い取った候補者たちは、当選後には自分が使った資金を何としても取り返そうとする。そのため、今度は別の候補者から金を受け取って自らの地位を売るか、あるいは業者に対して許認可の権限をちらつかせながら現金を手にする。地方選挙の候補者たちは、党からの公認という制度故に、その多くが犯罪者に転落してしまっているということだ。つまり、公認制度は犯罪を培養する一種のプロセスに成り下がってしまったのだ。
初めて地方自治が導入され、その際に行われた選挙で起訴された自治体の長は23人だった。ところが、それが2回目になると53人、3回目は78人、4回目には94人にまで膨れ上がった。全国230の自治体のうち、41%の長がすでに刑務所行き、あるいはその目前となっている。京畿道では31の市や郡のうち13カ所、同じく江原道は18カ所中6カ所、慶尚北道は23カ所中15カ所、全羅南道は22カ所中15カ所の長がこれまで起訴された。汚職で辞任した長や議員らを再び選ぶための選挙を行う費用は、昨年は484億ウォン(約38億4000万円)だった。これらの費用は、汚職を行った者を公認した政党から追徴すべきだろう。
ハンナラ党は2006年の地方選挙で、首都圏にある各市や道内の234の選挙区すべてで勝利し、その結果、全国の市長、郡首、議員の70%を掌握した。ところが自分たちが公認して当選した長や議員らの汚職に関しては、謝罪どころか一言もコメントしていない。前回の地方選挙で過去最悪の敗北を喫した民主党も同じで、公認議員や長の汚職に関しては沈黙するばかりだ。今や韓国も地方自治の内容や候補者の公認といった選挙制度、さらには汚職の摘発に向けた監視体制など、地方自治全体の改革を始めるべき時を迎えているのではないだろうか。
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