さらば急行「能登」
13日のJRダイヤ改正で、寝台特急「北陸」と急行「能登」が廃止となりました。「北陸」に乗ったことはないけれど、大学時代山岳部で過ごした私にとっては「能登」は、最も思い出深い列車でした。
大学山岳部の主戦場は四季を通じて北アルプスです。
約2週間ほどの合宿を終えて、富山の駅まで戻ってくると駅近くの銭湯で久々の風呂につかり、安い居酒屋チェーン店で打ち上げ。そして深夜「能登」に乗って帰京するというパターンが多かったです。
「能登」は寝台車ではないので完全に体を横たえることはできません。椅子を最大限に倒して寝たり、混んでいるときはデッキに体を埋めて寝たりしていました。それでも厳冬期の合宿を終えた貧乏学生にとっては快適な列車だったと思います。
終着の上野駅が近づくと、車内アナウンスの前にやさしいオルゴール音が鳴ります。このメロディーは僕らにとっては厳しい合宿の終わりを告げる癒しのメロディーでした。
大学卒業後は、なかなか乗る機会がなかったけど、4年前に直江津へプロレス巡業の取材に行った帰りに15年ぶりくらいに利用しました。
取材後、ひなびた居酒屋で1杯飲みながら、どこの宿に泊まろうかと考えている時にひらめきました。「そうだ!能登号があった!」
0時過ぎに直江津駅から乗り込み、ほろ酔い状態で山岳部時代の懐かしい思い出に包まれながら上野駅へ向かいました。
あれが最後になってしまった・・・。
年を重ねるごとに、旅をするにも快適さを求めるようになりましたが、金がなくてもすべてが新鮮に感じられた学生時代のような旅がたまらなく懐かしくなることがあります。
月並みな表現ですが、昭和の面影を残す旅情との惜別。
撮り鉄の皆さんほどではないけど、私も寂しい思いにかられました。
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