【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 2
「東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案」を見やすくしてみました。を参考に見て下さい。
見やすくしてみました。東京都の青少年の健全な育成に関する条例の改正案の問題点を指摘します。携帯のフィルタリングまで手が回っていません・・・。
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0 どんな条例なのか?
このあたりのページがよく纏まっています。
漫画・アニメの「非実在青少年」も対象に 東京都の青少年育成条例改正案
http://d.hatena.ne.jp/marinba/20100307#20100307fn6
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東京都青少年健全育成条例の改正案の中には、「非実在青少年」(つまり実写でなく、マンガ・アニメ・ゲームに出てくる青少年)を性的に取り扱う表現への規制が盛り込まれています。
これは、 「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」と規定されており、つまり設定が18才以上になっていても、「18歳未満(=青少年)に見えれば」、「青少年性的視覚描写物」として、「まん延の防止=追放」の対象にしてしまうというものです。いわゆる事業者だけではなく、都民一般にも、青少年がこれにアクセスしないように努力する義務を介しています。
つまり、国の方で何度も改正(改悪)が話題に上りながらも、反対が多く先に進まないでいる「児童ポルノ法」における、「単純所持規制」(=とくに売買する意思を持っていなくとも、「児童ポルノにあたるもの」を単純に「持っている」だけで処罰対象とする規制)、「マンガ・アニメ・ゲームその他、実在の児童を被写体とせず、創作物として描かれる児童についても児童ポルノ法による規制の対象とする」というもくろみを、反対勢力の強い国会ではなく、比較的、行政側(知事)の権力が強く、行政サイドの提案する通りの内容の条例を制定しやすい地方自治体による条例で実現してしまおうという悪だくみの産物です。
東京都にはメディア産業、IT企業が集中しており、東京都で規制をかけることは、全国レベルで規制をかけるに等しい効果がありますし、東京都で成立した条例は、そのコピー品が全国の自治体において同様の条例として可決されてしまうことは、過去の歴史が物語っています。
1 全体として、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言は絶対に削除すべきと考えます。青少年とは、18歳未満の者全てを指しますが、例えば、思春期以前と思春期後、義務教育修了前と修了後のように、各年代において性に関する健全な判断の基準は当然に異なる筈です。一律に判断することは、低い年齢に併せた健全性の判断がなされ、むしろ、成長に応じた性情報の受領が困難になるためです。「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言を全て削除すべきと考えます。
2 「第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備」は削除すべきと考えます。特定の児童の性的な自己決定権侵害を保護法益の本質とする「児童ポルノ」概念と、国親(パターなりスティック)的な観点から、青少年の自己決定権を制約する青少年健全育成条例は原理的に相容れないものであり、青少年健全育成条例に児童ポルノに関する規定を盛り込むことにより、かえって青少年の性的な自己決定権という児童ポルノの保護法益が不明確になるためです。
3 追加予定の第7条第2号は、
二 販売され、若しくは頒布され、又は閲 覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
範囲が極めて主観的かつ不明確であり、青少年と性をテーマとする作品であれば、全て該当しかねないものですので、当該条項を削除、定義の明確化を図り、あるいは、「著しく」等の制約文言を追加すべきと考えます。また、前述したとおり、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言を削除すべきと考えます。
4 追加予定の第18条の6の2第2項、第4項、追加予定の第18条の6の3第2項、第18条の6の4第3項のように、
(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都の責務) 第十八条の六の二 (略) 2 都は、青少年性的視覚描写物(第七条各号に該当する図書類又は映画等のうち当該図書類又は映画等において青少年が性的対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類又は映画等をいう。以下同じ。)をまん延させることにより青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と運携し、青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないように、そのまん延を抑止するための環境の整備に努める責務を有す る。 4 都は、事業者及び都民による児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延の抑止に向けた活動に対し、支援及び協力を行うように努めるものとする。
(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた事業者の責務)
第十八条の六の三 (略)
2 事業者は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、その事業活動に関し、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、他の事業者と協力して、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないようにするた めの適切な措置をとるように努めるものとする。(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)
第十八条の六の四 (略)
3 都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。
「青少年性的視覚描写物」に関する条項は全て削除すべきと考えます。
「青少年性的視覚描写物」のまん延の抑止は、「青少年性的視覚描写物」を18歳以上のものが受容し、消費することについて公権力が否定的な評価を加え、これを追放せんとすることに他なりません。青少年健全育成条例は、あくまでも青少年の未熟さに注目して、その知る権利等について国親的な観点から制約を加えるものであり、18歳以上の者の知る権利、表現の自由を制約するものであってはなりません。
特定のカテゴリーに属する表現物について、18歳以上の者が自己の責任において受容し、消費することについて否定的な評価をすることは青少年健全育成条例の趣旨を逸脱し、18歳以上の者の知る権利、表現の自由を否定するものです。
ましてや、東京都に対し、「青少年性的視覚描写物」のまん延を阻止するための環境の整備に努める責務を課し(追加予定の第18条の6の2第2項)、「青少年性的視覚描写物」のまん延の抑止に向けた活動に対し支援及び協力を行うように努める責務を課する(追加予定の第18条の6の2第4項)ことは、東京都に対し、成人の有する知る権利と表現の自由を抑圧する義務を課するものとも言えます。
このような条文の存在は、東京都が「青少年性的視覚描写物」と恣意的に判断する作品の店頭や図書館などからの撤去、「青少年性的視覚描写物」の製作・頒布に関与しているとされている団体や者による公共施設の利用を断るための口実、融資の拒否等の原因に繋がりかねないものであり、東京都が表に出ることなく、市民や企業を表に出した表現抑圧のための道具となりかねないものであり、ひいては、表現者から自由な発想と表現のための場を奪い、表現のタブーのないことから世界中に類を見ない程に発達した我が国のコンテンツ産業を抑圧しかねないものです。
18歳以上の者が特定の表現を受容・消費すること、表現行為を行うことについて公権力が評価せず、干渉しないことは、青少年健全育成制度の合憲性の基礎となっている大原則であり、これに反する「青少年性的視覚描写物」という概念を条例に盛り込むべきではありません。
「非実在青少年」というのは、つまるところ18歳未満(に見える)キャラクターのことです。18歳以上の者が18歳未満のように見える格好で演技をする場合等も含まれるでしょう。キャラクターの年齢を判定することは不可能です。設定上、何とでもなりますし(宇宙人、あるいは、エルフやドワーフなどの亜人間(デミヒューマン)、サイボーグ等)、実在する児童の場合とは違い、肉体の発達、二次性徴の発露等から医学的、生物学的な観点から年齢を特定することも不可能です。同じようなシーンを描いても、画風、作風、絵柄によって、18歳未満に見えるかどうか異なってくる可能性もあります。極めて曖昧としかいいようのない要件です。
5 また、事業者だけではなく都民一般に対し、追加予定の第18条の6の4第3項
(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務) 第十八条の六の四 (略) 3 都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。
のような義務を課することは、親が自己の責任においてどのような表現物を子どもに与えるのかどうかについての判断権に公権力が介入する余地を認めるものであり、削除すべきです。
6 追加予定の第18条の6の3第1項、追加予定の第18条の6の4第1項、第2項
(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた事業者の責務) 第十八条の六の三 事業者は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。 2 (略)(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)
第十八条の六の四 何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する。
2 都民は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
3 (略)
については、現行法の児童ポルノ法の範囲が曖昧かつ広汎であり、本来は規制の必要のないものについてまで規制対象としていることに鑑み、また、国会においても児童ポルノの定義そのものについて議論がなされていることに鑑みれば、少なくとも現時点において、このような条文を地方自治体の条例に入れるべきではありません。
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以下、現在の政治情勢
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http://d.hatena.ne.jp/marinba/20100307#20100307fn6
今回の改正案を阻止するためのキーパーソンとなっているのが、最大会派都議会民主党です。
都議会民主党が反対に回ってくれれば、生活者ネットワークや共産党、自治市民(※)といった野党会派も都議会民主党の議論に参加する形で、味方につけられそうです。
(※)自治市民より、民主党の姿勢如何に関わらず反対するとの力強いメールを頂きましたので、記事を訂正させて頂きました。
都議会民主党には、この問題をよくご理解頂いている議員の方々もたくさんいらっしゃいますが、都議会民主党執行部の方々に、もっと条例案の問題点をご理解いただき、こちらの味方になって下さっている議員の方々が動きやすい環境を整えることが重要です。
<都議会民主党のキーパーソン>
都議会民主党政策調査会長 酒井大史都議会議員
〒190-0012 立川市曙町2-34-6
小杉ビル803
TEL.042-528-6522 FAX.042-528-6525
都議会民主党団長 田中良都議会議員
〒167-0032 杉並区天沼3-2-2
荻窪勧業ビル3F
TEL.03-3392-1925 FAX.03-3392-0545
都議会民主党幹事長 大沢昇 都議会議員
〒135-0004 江東区森下1-5-5-201
TEL.03-5624-0061 FAX.03-5624-0062
都議会民主党総務会長 山下太郎 都議会議員
東京都東久留米市新川町1-6-14-101
TEL.042-470-4430 FAX.042-470-4430
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Comments
彼らは何故にここまで執拗に児童ポルノ規制を叫び、架空創作規制を図り、ヲタク文化を抹殺しようとするのでしょう?
もちろん、究極の目的が言論規制の制度造りであるのは間違いないでしょう。
しかし同時に感じるのは、本来自由であるべき人々の価値観(美的感覚や性のありかた)に介入しようとする傲慢さです。
不満だらけの現実から仮想世界へ逃避するヲタクを許せない、彼らの狭量さや支配欲にはウンザリします。(あるいは嫉妬でしょうか?)
一方で、彼らの短期的な目的はコミック・アニメ・ゲーム・ライトノベル・同人活動を管理する天下り法人を設立することにあるとも思います。(何て下種な連中!)
業界の上層部が警察OBに牛耳られるようになれば、企画・制作サイドが彼らの意向ばかりを気にするようになります。
これは単に「自由な表現が出来なくなると面白いアニメ・コミックが作れなくなる」と言う以上に危険であり、そうなれば日本のヲタク文化は死に絶えるでしょう。
ちょうど、警察の発表だけを垂れ流している大新聞・TVが顧みられなくなったのと同じように。
日本の国そのものが重要な転換点に立っていると言う時に、自分たちの利益のために大切な文化を食い物にすること位しか思いつかないのでしょうか?
Posted by: SF | March 10, 2010 at 09:33 PM
このような特定の倫理観を強制するような法律は、非常に注意して制定すべきだと思います。
思想信条の自由や表現の自由といった多様であるべき人間の精神・内面を、特定の思想でもって規制・統一することになるからです。
結果として、社会の許容性や包容性、多様性を奪うことになり、むしろ潔癖症的な不健康さのある社会、全体主義的な社会になるのではないかと危惧しています。
また、社会のあるべき倫理感・法整備について、「国際的に~だから日本も規制すべき」といった理由で行うのは間違いであると思います。
例えば子どもを性暴力による被害から守ることは大切ですが、「子ども」の定義や規制すべき被害の範囲については特定宗教の価値観に拘泥せず、実証研究に基礎をおいた議論をすべきだと思います。
ところで、なぜ「青少年」が18歳未満を意味するのかよく分かりません。青少年は「青年+少年」を表し、青年は通常30代くらいの成人に対しても使用されています。なので、青少年の健全な育成と聞くと、二十歳超えても行政に健全な育成を促されるのか思い、ぞっとしてしまうのですが。
Posted by: 2fdragon | March 10, 2010 at 10:09 PM
もし、フィクションの世界を綺麗で清潔なものにしたとしても、現実の親や身近な大人が、差別・いじめ・暴力・自己中心的な行動・違法行為・etc,etc...をしている限り、子供はそれを真似する。
青少年に悪影響を与えるのは、現実にいる大人だ。
Posted by: 通公認 | March 11, 2010 at 01:47 AM
山口先生。にしかたと申します。
先生にお伺いしたいことがあり、コメントさせて頂きました。
自分はうかつにもこの問題について先日Yahooで報道されるまで気がついていませんでした。
あわてて色々とこの件について調べ始めたのですが、調べれば調べるほど、これが民主国家日本で提示された条例案とは信じられません。
初めから規制に賛成する者だけで、しかも密室の中で一方的に規制を決めているように見えてしまいます。
現在の日本のマンガ・アニメ・ゲーム産業の発展から考えると、この条例によって影響を受ける人は極めて多いと思います。
コミックマーケットの参加者数などから考えても何十万人、いやそれ以上にも及ぶのではないでしょうか。
これほど多数の人に影響を及ぼす条例が、ほんの少数のそれも偏った考えを持つ人々によって密室の中で決定されてしまうということに恐怖すら感じます。
むろん、自分も児童ポルノの撲滅は当然のことと考えますし、それに向けた法や条例の改善であるならば賛成です。
しかし、「非実在青少年」なるものへの規制が「現実に性被害にあっている未成年」を救えるとは自分にはとうてい思えません。
ゲームやマンガによって悪影響を受けた未成年による性犯罪が激増している、というならばまだわかります。
しかし、未成年による犯罪・性犯罪は年々減少傾向にあり、今のようなアニメ・マンガ・ゲームの発達していなかった60~70年代に比べて数分の一になっていると聞いています。
このような明確な数字があるのに、なぜこのような条例が提出されるのか理解できません。
なんとか反対の声をあげたいと思うのですが、すでにコメント提示は締め切られたと聞いています。
また、自分は残念ながら都民ではありません。当然ながら何かの公的な立場もない1サラリーマンです。
このような自分が反対の声をあげるにはどのような手段が望ましいのでしょうか。
リストされている都議会民主党の方々にFAXで意見を伝える、という方法が望ましいのでしょうか。(都民ではないのでそれが許されるのかという懸念があります)
お教えいただけたら幸いです。
Posted by: にしかた | March 11, 2010 at 04:15 PM
これ…日本だけの問題だけで済まされず、
外国のオタクたちにも影響を及ぼすかもなww
Posted by: hai | March 11, 2010 at 04:21 PM
FAX送付は議員さんに迷惑をかけるので行わない方がいいのですね・・・。
早まって他の人の足をひっぱるところでした。
手紙で議員さんに陳情したいと思います。
Posted by: にしかた | March 12, 2010 at 08:13 PM