日本三大けんか祭りの一つ、佐賀県伊万里市の「トンテントン」の合戦で2006年に事故死した男子高校生=当時(17)=の遺族が、主催組織「伊万里トンテントン祭奉賛会」に損害賠償を求めていた問題で、奉賛会は22日夜、臨時総会を開き、80年以上続いた荒神輿(あらみこし)と団車(だんじり)を組ませて押し倒す伝統の合戦をやめることを承認した。遺族は「危ない祭りを変えたいとの思いを感じる」として賠償請求を取り下げる方向で検討している。
奉賛会は遺族の要望を受け、昨年12月以降、祭りに参加する出番町の全約3700世帯に合戦形式の是非を問う二者択一のアンケートを実施。有効回答の1129枚を集計したところ「従来の合戦をやめ、遺族との係争を回避する」との回答が72%を占め、臨時総会でこの結果を承認した。
新しい祭りの在り方は地域(出番町)で模索されることになるが、住民からは「伝統の合戦がなくなるのは受け入れがたい」との声も上がっており、活発な議論がなされるかは不透明だ。
事故は06年10月、合戦に飛び入り参加した男子高校生が重さ約600キロの団車の下敷きになって死亡。この年には別の男性が脊髄(せきずい)損傷の大けがを負ったこともあり、合戦は07年から09年まで3年連続で休止された。
奉賛会は昨年6月、合戦の再開に向け、飛び入り参加の禁止などを盛り込んだ安全対策案をまとめたが、遺族は「合戦が維持される限り、重大事故が再び起きかねない」と反発。同10月、慰謝料など総額4500万円の支払いを求める内容証明郵便を奉賛会側に送付し「対応次第では提訴も辞さない」としていた。
=2010/02/22 西日本新聞=