京都

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支局長からの手紙:ハトよ /京都

 ハトよ、何してくれるんだ。

 今、私はハトに対してそんな心境です。ハトが嫌いだというわけではありません。どちらかと言えば、そこそこ好きだった、というのが正確かもしれません。飼った経験があるわけではありませんが、ハト派、タカ派という言葉もあるようにハトに対して平和的で愛くるしいイメージを持っており、私にとっては好感度の高い動物の一つでした。

 ところが、最近ハトが私の生活に近寄ってきてから印象がガラリと変わりました。京都支局ビルの屋外にある非常階段の鉄骨がハトにとって非常に居心地が良いらしく、四六時中、ハトがとまっています。当初、1羽だけだと思っていたのですが、弟かどうか知りませんが、よく似たハトが2羽いる日が多くなってきました。もちろん、骨休みをして、兄弟仲良く私たちの目を楽しませてくれるだけであれば、良い印象のままだったはずなのです。しかし、2羽はフンをまきちらすのです。鉄骨の下にある編集室の非常階段を一晩で真っ白にしてしまうほどで、「ハトってこんなにきたない鳥だったのか。人の気も知らないで」と、好感度は下がりっぱなしです。

 私はトイレに行くたび、非常扉を開け、とまっているハトに向かって傘を振り回したり、階段を強く踏み鳴らしたりして、追い出しています。しかし、目を離すとまたすぐに戻ってきます。こうなるとこれまで愛くるしいと思っていた表情もにくたらしく、灰色の体も目障りになってきました。

 迷惑を被っているのは支局ビルだけではないようです。支局向かいのマンションでは入居者がベランダにCDをぶら下げて、キラキラと日光の反射でハトを追いやっています。私が観察している限りでは、効果があるようで、ハトが休んでいる様子はありません。私もまねしてCDをぶら下げたのですが、私たちのハトはCDを尻目にクークーとご機嫌の様子です。

 光がだめなら、音で勝負と考え、風鈴作戦を思いつきました。ところが、この時期、風鈴を売っている店が見つからず、100円ショップで、赤ちゃんの拳大の輝く鈴を買って、手製の風鈴をぶら下げてみました。つるす位置を毎日あれこれ変えた結果、ベストポジション(ハトにしたらワーストポジション)につるすことができたのか、この二、三日はハトの姿が見えません。しかし、雨のせいかもしれません。また、風が吹かなければ音がしないので、どれほど効果があるのかまだまだ安心できません。

 ハトが自主的に退去するか、フンをまき散らさない身ぎれいなハトになってくれればいいのですが、そんなことは期待できません。別の心配もあります。支局周辺にはハトより難儀なカラスもいることです。ハトの退場と同時にカラスがのさばらないか、という心配です。【京都支局長・北出昭】

毎日新聞 2010年3月8日 地方版

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