トヨタが追い込まれた本当のワケ
2010年3月5日(金)10時1分配信 All About
-PR-
動く電子機器とすら言われている現代のクルマだが、その中でもトヨタは間違いなく世界ナンバーワンのブランドだ。そのトヨタが件のエコカー・プリウスのリコール問題で、アメリカで“火の車”となっている。果たしてトヨタ以外は大丈夫なのか? 似たようなトラブルはないのだろうか?ハイブリッド車の安全性についてオールアバウト「国産車」ガイドの国沢光宏氏に聞いてみると、そこからあぶりだされたのは、今にいたるまでの車産業における国外進出のやり方の問題だった。
「トヨタ以外ですか? 特にないですね。日本でもアメリカでも。そのトヨタだって、プリウスのリコール以後、問題は起こっていませんから。海外を含め似たようなトラブルは、特定のメーカーで聞いたことありませんよ」
ではなぜ、トヨタだけヤリ玉に上げられているのか? 国沢氏は「ズバリ、バッシングですね」と言い切る。
「ある国に進出しようとするならば、その国のことを考え、うまく商売しなければいけないじゃないですか。トヨタは昔からそういう面が欠けているんですよ。1980年代、日産やホンダは貿易不均衡が叫ばれる前からアメリカに工場を作り、雇用を促進しましたけど、トヨタは消極的だった。今回のバッシングはこういうトヨタの姿勢が下地になっています。あのリーマン・ショック以後、各企業とも苦しい状況に陥りましたが、日産やホンダはアメリカでの工場閉鎖はしなかった。ところが、トヨタだけ10工場のうちからカリフォルニア州フリーモントにある工場を2010年3月いっぱいで閉鎖すると発表したのです。しかもその工場はアメリカでも有数な強力労組UAWの“管轄”だっただけに、強烈なバッシングを受けたといえるでしょうね」
その工場の閉鎖は予定通り行うとしているトヨタ。しかし、豊田社長が公聴会で謝罪したことで少しは収まりを見せるのか?
「収まらない感じが強いですね。そうなるとトヨタのダメージは計り知れなくなります。社長が謝ってしまったから、訴訟関係は片っ端から負けるでしょう。非を認めたら許してくれませんから、アメリカは」
問題はハイブリッドの安全性に限らない。他社を見回したり、トヨタの他種を見ればそれは明らかだ。トヨタが追い込まれた背景にあるのは、あくまでもトヨタのアメリカ進出に対する企業姿勢といえそうだ。
【All About 専門家ニュース:All About ニュース編集部】