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良質な映画文化目指し…日本映画俳優協会幹部にきく

映画上映とトークショー、フィルムの保存…

石濱朗氏
石濱朗氏

 日本映画製作者連盟のまとめによると、2008年の全国の映画入場人員は1億6049万1000人で、興行収入は1948億3600万円。前年に比べ微減だったが、2年ぶりに邦画が洋画を逆転し、売り上げも邦画が20%多くなった。邦画をとりまく環境は一見良好に見えるが、課題は多い。俳優の立場から日本映画界を支える「日本映画俳優協会」の幹部に、現状と将来の展望を聞いた。

【「良識ある観客を大事にしたい」】

 日本映画俳優協会(映俳協)は、映画芸術の向上による日本文化の発展、映画俳優同士の結束、ファンとの交流促進を目的に1951年に設立された社団法人。正会員の映画俳優は232人で、森繁久彌氏や吉永小百合さんら日本映画界の重鎮がずらりそろっている。

久保明氏
久保明氏

 そのトップをつとめる理事長は、美空ひばり「伊豆の踊子」などの共演で知られる俳優、石濱朗氏(74)。石濱氏も、邦画に人が戻っていることは認めている。「かつては『こういうものを作ったら人が呼べるんじゃないか』と製作会社が安易に考えて製作し、シリーズ化もしていたが、これからは良識ある映画好きな観客を大事にしていってもらいたいですね」と言う。

 「若大将」シリーズの妹役などで知られる副理事長の中真千子さん(72)も「40年ぐらい前から映画界も不況になりました。現在の映画界はこれをはね返すエネルギーが必要です」と語る。たしかに、一部の“大作”を除いては製作費も切り詰められ、多くの俳優やスタッフは苦しい立場に追い込まれている。

 「目先の利益を追いすぎて、映画業界が自分で自分の首を絞めている。どこかで変えなければいけない時がきている」と常務理事の大久保運氏(50)は強調する。

 「今は、純粋な映画俳優っていないんですよ。ほかに活躍の場があるので、みんな映画俳優だけに限定していないんです」と常務理事の浜田晃氏(67)は語る。

 それを受けて石濱氏も「純粋な映画俳優は前理事長の池部良さんが最後でしょう。しかし、他の仕事をしていても映画は特別。みな憧れているんです」

 もちろん、映俳協は現状を座視しているわけではない。映俳協は毎年12月1日の「映画の日」に、名作の上映とその映画の主演者によるトークショーなどのイベントを開催して映画人口の裾野を広げる一方、国の貴重な文化財産である映画フィルムのデジタル化保存運動も行っている。

中真千子さん
中真千子さん

 「昔は『大映カラー』というのがありましてね。とくに黒色に特徴があった。夜のシーンの暗い部分なんかは、今の映画では絶対に表現できない黒なんです。苦労して作ってきた昔の映画の良さをもっと知ってもらいたいんですよ」と副理事長の久保明氏(72)は言う。

 9月には放送作家協会に協力して事業も行う予定だ。常務理事の丸山ひでみさん(50)は、「フィルムも大事、脚本も大事。とくに私たちの世代は、これからの映画文化を背負っていく責任があるんです」と事業の準備に奮闘している。

【若者のための「コンクール」も】

 映画文化を発展させるには、若い世代の映画人を育てる活動も必要だ。石濱氏にはこんな夢がある。「次世代を担う若者のために映画コンクールをやりたい。いいプロデューサーや監督・俳優が出てきて、『実は〇回目のあの賞をいただいた者です』と言われたら、こんなにうれしいことはないですよね」。

 フィルムや脚本の保存、撮影中の事故などの補償拡充、目の肥えた観客の育成…。取り組みたい課題は山のようにある。そのひとつひとつを実現するべく、映俳協は映画俳優たちの輪を広げながら地道に活動を積み重ね、映画文化の発展に取り組んでいる。

 ◇

 夕刊フジは5月に映画俳優協会・石濱理事長についての記事を掲載しましたが、理事長人事は理事会の選任の上、総会の総意を得て4月、正式に文化庁に決議事項を届け出ており、その他の記事も正確さを欠きました。石濱氏はじめ日本映画俳優協会および関係者の方々に深くお詫びいたします。

ZAKZAK 2009/08/05

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