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03月12日(金)11時30分 更新
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ニッポン食材風土記 完全養殖・近大マグロ

エサのサバを生け簀に放り込む(写真)。孵化した稚魚は陸上の水槽で1カ月間育てられた後、海上に作られた浅い生け簀に移され、さらに大きくなると、深めの生け簀に移される

大島実験場はこうして育てたマグロを、多い週には15~20匹出荷している。出荷サイズは40kg前後。孵化して2~3年経ったものだ。岡田さんらは、出荷のたびに1匹ずつ釣り上げ、電気ショックを与えて即殺する。

「悶絶(もんぜつ)すると体温が上がって肉のpH値が上がり、“ヤケ”という症状を起こす。それを防ぐには速やかな処理が不可欠なんです」(岡田さん)。

もっとも、週に何度も釣り上げると、釣り上げ船のエンジン音を聞いただけでマグロは海中深くに潜るようになる。そんなマグロとの知恵比べも仕事の一環で、エサをサバから好物のイカに替えたり、エサやり船に釣り上げ船をつなぎ、エンジン音を消して近付くこともある。

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