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03月12日(金)11時30分 更新
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ニッポン食材風土記 完全養殖・近大マグロ

大きな生け簀でゆったり成長
釣り上げ後は速やかに処理

脂がたっぷり
別名「全身トロマグロ」

釣り上げの船には警戒するが、エサやりの船が近付くと海面近くに上がってくる。出荷は、基本的に火曜と木曜の週2回。この日、揚がったのは29kgと小さいほう(左)。40kg以上ないと脂のノリが少ないが、小さな店でさばける量は限られるため、最近は小サイズの引き合いが強い

2月上旬、近畿大学水産研究所大島実験場を訪れた。紀伊半島の南端、和歌山県串本町の大島という島にある。迎えてくれたのは、近畿大学水産養殖種苗センター大島事業場・場長代理の岡田貴彦さん。ちょうどエサやりに行くと言うので、ついていくことにした。

実験場前で小さな船に乗りこむ。そこから5分ほど、紀伊半島と大島に挟まれた海域に、直径30m×深さ6~10mの円形の生け簀が点在している。

マグロたちは、余裕のあるスペースでゆうゆうと泳いでいた。実際、収容密度はマダイの5分の1から10分の1。ストレスのない環境で育てているから抗生物質も必要ないという。

エサは、孵化して30日までの稚魚にはイカナゴを細かく刻んだものを、それ以降は、サバやイカを与えている。

一般的に、大きな魚ほど水銀濃度が高いが、「ここでは、大きくてもサバぐらいしか与えないから、水銀濃度は天然マグロの半分といわれているんですよ」と岡田さんは教えてくれた。

Next: 大島実験場はこうして育てたマグロを…

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