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ニッポン食材風土記 完全養殖・近大マグロ

2008年4月17日

文=大谷 珠代
写真=楠本 弘児、高瀬 信夫

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取材協力
近畿大学水産研究所
同研究所が養殖した魚は、アーマリン近大(TEL:0739-42-2627、FAX:0739-42-2600)が販売している。価格は流通業者によって異なるが、畜養もののトップクラスと同等で、天然の生のブランドものの半値以下
http://www.a-marine.co.jp/

バッシャーン。エサやりの担当者が大量のサバを海に放り込むと、銀色の巨体が海中から飛び出し、サバに食いついた。「近大マグロ」の名で知られる完全養殖のクロマグロだ。

完全養殖マグロとは、養殖施設内で人工孵化(ふか)した親から生まれたマグロのこと。これに対し、天然の幼魚を捕らえてきて生け簀(いけす)で育てたマグロを「畜養マグロ」と呼ぶ。稚魚を天然から獲るばかりだと、資源は減る一方。そこで、畜養ものから卵をとって再生産に結び付けようと考えて実現したのが、完全養殖マグロだ。

マグロの完全養殖は無理と言われていただけに、2002年6月に流れた成功のニュースは、関係者を驚かせた。

それから6年。今では近大マグロは、一部の百貨店や飲食店などに出荷されている。その一つ、「三越日本橋本店」にある吉川水産の鮮魚売り場では中トロを100g1990円前後で販売、週に一度の入荷日を心待ちにするファンもいる。

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