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財団理事 天下り先役員兼務 「スプリング8」ずさん契約

 文部科学省所管の財団法人「高輝度光科学研究センター(JASRI)」が同省OBの天下り企業を丸抱えしていた問題で、天下り企業の設立に関与したOBの財団役員が、設立企業の役員を兼務していたことが6日、関係者への取材で分かった。10億円規模の委託業務の発注側と受注側に同一人物が役員として名を連ねていたことになる。この構図は、昨年問題が発覚した日本漢字能力検定協会と親族企業との不透明な取引ともよく似ており、身内同士によるずさんな契約手続きの実態が改めて浮き彫りになった。

 問題の天下り企業は、兵庫県上郡町の人材派遣会社「スプリングエイトサービス」。大型放射光施設「スプリング8」の運用が始まる1年半前の平成8年4月に設立した。

 設立に関与したOBは、旧科学技術庁(現文科省)の原子力安全局長などを歴任し、退官後はスプリング8の建設に関与した日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)の副理事長に就任した。

 退任後にさらに財団へ天下り、7年7月から13年5月まで副理事長兼専務理事を務め、その後財団法人「原子力研究バックエンド推進センター」(東京都港区)の理事長に就いた。登記簿などによると、スプリングエイトサービスの代表取締役も12年6月まで務めていた。

 民間信用調査会社によると、同社の年間売り上げは約15億円だが、業務の大半は財団から運営の一部を受託したスプリング8関連で占めており、財団は関連の独立行政法人「理化学研究所」を経由した文科省の交付金などから同社への業務委託費を支出していたことが分かっている。

 ただ平成20年度までは放射線管理区域内での作業など特殊技能が必要との理由で、同社への業務委託の大半は随意契約で発注。設立に関与したOBが役員だった当時も同様の発注方法で契約を繰り返していたとみられる。

 公益法人は、法人関係者に有利な取引をすることを国の指導監督基準などで禁止しており、財団と同社の取引はこれに抵触していた可能性もある。

 財団幹部は産経新聞の取材に「どういう経緯だったのか詳しくは知らないが、今になって考えてみれば、好ましい関係とは言えない」と証言。

 一方、文科省は「当時の社会情勢は今と異なる部分も多いので判定はできない。ただ現在は発注方法を一般競争入札に切り替えており、問題はない」としている。
 

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