内閣府は15日、2009年10〜12月期の国内総生産(GDP)の1次速報値を発表した。物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整済み)は前期比1.1%増、年率換算で4.6%増で、4〜6月期から3四半期連続のプラス成長となった。ただ、政府の経済対策頼みの側面が強く、回復の実感は広がっていない。
同時に発表された09年の年間GDPを国際比較すると、物価の動きを反映した名目GDPで、日本は中国を抑え世界2位を維持した。
10〜12月期の実質GDPを項目別にみると、全体の5割超を占める個人消費は前期比0.7%増で、3期連続のプラス。景気対策の効果でハイブリッド車や薄型テレビの販売が増えた。輸出は5.0%増と3期連続のプラス。いち早く景気が回復した中国向けに加え、欧米向けも増えた。
企業の設備投資は前期比1.0%増で、08年1〜3月期以来7期ぶりのプラス。ただ、前回の09年7〜9月期GDPでも1次速報で前期比プラスだったが、詳細なデータをもとに推計した2次速報ではマイナスに転じた。今回も下方修正の可能性がある。
公共事業は1.6%減と、2期連続のマイナス。公共事業の執行が景気対策で09年度前半(4〜9月)に前倒しされており、その反動減が出たとみられる。
住宅投資は3.4%減で4期連続のマイナスだが、マイナス幅は前期(7.8%)から縮小した。住宅ローン減税の効果もあり、一戸建てを中心に住宅着工件数は持ち直しつつある。
10〜12月期の実質GDPの実額は年換算で532兆円。リーマン・ショック後の09年1〜3月期(519兆円)を底に徐々に増えているが、ピークだった08年1〜3月期(567兆円)と比べると水準は低い。
物価の動きを反映し、景気実感に近いとされる名目GDPは0.2%増、年率換算で0.9%増で、7期ぶりのプラスとなった。ただ、物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比でマイナス3.0%と、過去最大の下落率となった。物価下落が続くデフレは、景気回復の実感が広がらない一因となっている。
09年の年間の実質GDPは前年比5.0%減、名目では6.0%減。ともに2年連続の減少で、下落率は比較可能な1955年以降で最大だ。
年間の名目GDPを09年の平均為替レートでドル換算すると、日本は約5.1兆ドルで米国(約14.3兆ドル)に次ぐ世界2位。3位の中国は約4.9兆ドルと日本に迫り、10年には追い抜く可能性が高い。