ある老舗料亭で使われている鯨肉が、取材記者の話では 「イワシクジラを使っている」 とのことだったが、
「ノルウェーから輸入」 という不可思議な産地説明だったため、表示について農林水産省に問い合わせた。
JAS法の関連項目の説明は、次の 「食品表示とJAS規格」 から参照のこと。
http://www.maff.go.jp/j/jas/index.html
また、「外食における原産地表示ガイドライン」 の説明は、次を参照のこと。
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/gaisyoku/gensanti_guide/index.html
過去記事にも示したが、ここでは農林水産省の回答を紹介する形で、再度まとめておこう。
【料理店でのクジラの品種及び産地の表示は任意の表示となりますが、表示しているのであれば
「外食における原産地表示ガイドライン」に従い表示する必要があります。
通販されている商品については消費者に届いた時点で生の鯨肉であれば、「イワシクジラ」という名称、
「漁獲した水域等」の産地及び解凍品の場合は「解凍」の表示が必要となります。】
消費者の選択を助けるために、飲食店で出される料理の食材についても、原産地表示が求められている。
義務ではなく罰則もないが、食材の由来を知りたいという人がいるのだから、表示はサービスの一つだ。
流通量が少ない鯨肉は、日によって入荷する種類が変わるのだから、表示するのが親切だ。
その飲食店が、「お取り寄せ」 などと称する通販をしていれば、こちらはJAS法に従う義務がある。
義務ではあるが、違反しても指導に素直に従えば処分されないし、違反事実の公表もないことが多い。
また、自主申告制度もあり、この場合は公表されるが、コンプライアンス意識が高いという評価につながる。
http://www.maff.go.jp/j/jas/kansi/jishu_sinkoku.html#gaiyou
JAS法の規定では、最終的に販売する業者だけではなく、各流通段階でも表示義務がある。
そのため、「納品業者から原産地について聞いていない」 というならば、JAS法違反の疑いがある。
【野菜、畜肉類及び水産物については生鮮食品品質表示基準に基づき「名称」と「原産地」の表示が
義務づけられております。最終的に一般消費者に販売される可能性のあるものは、集荷業者、卸、仲卸の
各流通段階でこの2つの表示を伝達する義務がありますが、外食にはガイドラインはあっても義務表示では
ありません。
鯨については輸入がほんのわずかあるだけで、ほとんどが調査捕鯨したものと思われますので原産地である
取れた水域は明らかであり、判らないと言うことはないと思います。
鯨は生鮮食品品質表示基準の「水産物の海産哺乳動物類」となり名称と原産地の表示義務があります。
「食肉(鯨肉を除く)」や「水産動物(ほ乳類を除く)」は、食品衛生法の中で定義している「食肉」、
「水産動物」の範囲を決めているだけであり表示がなくても良いと言うことではないのでご注意下さい。】
ついでにイルカ肉の表示についても、農林水産省に質問した。
ただしこの件は、連続投稿コメントとは無関係に、「JAS法・消費者の権利」 の観点で調べている。
イルカとは、クジラのうち小型のものを指すため、イルカ肉を鯨肉と言えそうだが、種類の表示義務はある。
【イルカ肉などの生鮮水産物の表示については、JAS法に基づき定められている「生鮮食品品質表示基準」
及び「水産物品質表示基準」により、名称と原産地が、また、冷凍したものを解凍したものは「解凍」との
表示が義務づけられています。
このルールに基づけば、イルカ肉の表示について(1)名称として「○○イルカ」等標準和名を記載し、
(2)原産地は、国産の場合は生産した水域名、また、水域名が特定困難な場合は水揚げ港や水揚げ港が
属する都道府県名を、(3)輸入品については原産国名を記載することとなります。
なお、「イルカ肉の3分の1が鯨肉として売られている」とのことについてデーターを当方は持ち合わせて
おりません。
また、これまでの違反事例や違反件数は、JAS法に基づき公表しているもの以外、お教えすることが
出来ませんので、なにとぞご理解をお願いします。
いずれにせよ、イルカ肉を鯨肉と表示し一般に販売しているような事実を確認した場合は、JAS法に基づき
厳正に対処してまいる所存です。】
イルカ肉を鯨肉と称して販売しているという噂は、根拠が示されていないので、私は無視していたが、
農林水産省に記録がないということは、告発も自主申告もなかったということになる。
「The Cove」 というドキュメンタリー映画で取り上げられた話と思われるが、この噂を流した
どこかの団体は、農林水産省を信用していないとしても、JAS法違反で告発すべきだったろうに。
農林水産省は、イルカ肉を鯨肉と表示して販売している場合には、厳正に対処すると言っているのだし。
不正表示が確認されれば、違反事実が公表されて公的な記録として残り、単なる噂ではなくなるのに。
関連情報として、岩波新書 「消費者の権利 新版」(正田彬著)から、一部引用しておこう。
第3章 商品・サービスを正確に表示させる権利
(p.70)… 消費者が消費活動を行うためには、当該の商品・サービスの内容について、消費者が正確に
認識しておく必要がある。しかし、製造工程や流通過程が複雑に発達した今日、消費者がその商品・
サービスの内容について自力によって正確に認識するのは不可能である。そこで、事業者に対して、商品・
サービスについて正確に表示させる権利が必要となる。
(p.71-72)… 食品の表示に関する規制を定めているJAS法の改正(…)によって、より厳格になったと
されているにもかかわらず、食品の偽装表示事件は跡を絶たない。
食品についての偽装表示は、消費者の生命・健康に関わってくる場合もある。また消費者にとっては、
その表示に依存して商品・サービスを選択する以外に方法がない。したがって、偽装表示であることが、
消費者の「商品・サービスの内容を正確に表示させる権利」を侵害しているということはいうまでもない。
(最終チェック・修正日 2010年03月04日)
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コメント(4)
>「The Cove」 というドキュメンタリー映画で取り上げられた話と思われるが、この噂を流したどこかの団体は、農林水産省を信用していないとしても、JAS法違反で告発すべきだったろうに。
不正表示が確認されれば、違反事実が公表されて公的な記録として残り、単なる噂ではなくなるのに。
コレだけ愛護反イルカ漁ちゃん達が身を粉にして「イルカ漁の闇(w)」を探ってるのに尚、告発されない、という事は
『 そ の 様 な 事 実 が 無 い か ら 』
と素直に考えられませんかねェ・・・?w
「イルカ肉を『イルカ肉』と表示して売ってる証拠」は揃ってるんですしw↓
http://blogs.yahoo.co.jp/toripan1111/8929831.html
因みに水銀等の汚染物質に関する「暫定規制値」についても「イルカなんかよりマグロの心配しろよ!!」という事です♪↓
http://blogs.yahoo.co.jp/toripan1111/8985694.html
2010/3/4(木) 午後 10:03 [ toripan1111 ]
この店ではイルカ肉を鯨肉として売っています。
ザ・コーブを見ました。
イルカを鯨だとウソをつている店のホームページです。
この湾の写真に見えるのはイルカで、鯨追い込み船となっているのはすべてイルカ追い込み船です。
http://www.simetani.com/tenpo.htm
農林水産省に偽装商品名として販売してる旨を申告しましたので、返事待ちです。
2010/3/13(土) 午前 8:38 [ hoppinghund ]
hoppinghund さん、その具体的な証拠って何かあるのでしょうか?
太地町での主な捕獲鯨類がイルカになるのは確かですが、江戸時代から続く捕鯨の町として元々鯨肉の消費が多い土地ですから調査副産物の流通も多いんですよ?
店舗HPの写真がイルカ漁の風景だからといって調査副産物を扱っていない、などという事はありませんから、それしか証拠が無いとすれば貴方一人の早合点という事です。
外見ではイルカ肉と髭クジラ肉は区別が付きませんからDNA検査での証拠がなければ「イルカを鯨肉として売ってる」という証拠にはなりませんから、当然その証拠はお持ちなんですよね?
また、店構えを見れば判りますが、そこは地元の人達が直接買えるようにもなってる店ですから、髭鯨肉とイルカ肉の味が全く違う事を知ってる地元民を騙すのは不可能です。
この件、貴方が証拠を出せなければ悪質な風評の流布として告発しますのでその積りで。
2010/3/13(土) 午前 8:57 [ toripan1111 ]
訂正。
正しくは「風評の流布」ではなくて「信用毀損/業務妨害罪」という刑法違反の犯罪でした。
何れにせよhoppinghund さんが言ってる事を裏付ける証拠が出せなければ刑事罰対象になるのは事実ですから、この様な出鱈目が蔓延しない内にキッチリさせておきましょう。
2010/3/13(土) 午前 9:10 [ toripan1111 ]