クラスアクションは、司法関係者によると、クラスが1、2万人でも可能だ。ただ、1000万人という数字は、理屈ではありうるが、実際は聞いたことがないという。
これで、被害者側が裁判に勝てば、トヨタからどんどんお金を取ることができるし、トヨタ側にすれば、莫大な損失を招きかねないことになる。
クラスアクションに詳しい大髙友一弁護士は、実情について次のように話す。
「実際は、判決にはいかず、ほとんど当事者同士が和解しています。被告は、負ければとんでもない賠償金が課せられる可能性がありますし、原告は、訴訟費用などをかけても一銭も取れないリスクがあるからです。つまり、お互いに判決がどうなるか分からないので、和解するわけです」
敏腕弁護士というハワード氏については、それほど知名度はないようで、大髙弁護士はこう言う。
「訴訟に勝つと、弁護士に大金が入るんですよ。1人1000ドルとしても、その2割の手数料を取れば、莫大な報酬になります。だから、クラスアクションを専門にしている弁護士は、アメリカではたくさんいるんですよ」
とはいえ、トヨタにとっては、見通しは必ずしも甘くはないようだ。
同社は2010年2月4日の決算発表では、リコール問題が発覚してから3月末までに世界で約10万台販売が減り、損失は20億ドル(1700~1800億円)と推定していた。
ところが、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の3月10日付日本版サイト記事によると、修理や訴訟対策、販促活動などの関連費用が今後1年間で50億ドル(4500億円)超かかるとのアナリスト予測を明らかにしている。また、米マイアミ・ヘラルド紙の9日付記事によると、米国内で89件以上の個別訴訟があり、30億ドル(2700億円)以上を支払う可能性があるというのだ。
こうした個別訴訟での和解については、大髙弁護士は、「見通しは読めませんね」と指摘する。
トヨタ自動車の広報課では、「個別の訴訟については、コメントを差し控えさせて下さい」と話している。
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