夫婦以外の第三者の精子や卵子を使った非配偶者間人工授精(AID)で生まれた人や大学の研究者らが11日、「第三者の関わる生殖技術について考える会」を発足させると発表した。20日にシンポジウムを開き、AIDで生まれた人たちが体験を踏まえて生殖補助医療のあり方を議論する。
AIDは1948年に初めて実施されたが、法的な規制はなく、日本産科婦人科学会は「夫婦にほかの不妊治療法がない場合、同意を得た上で匿名の精子を使って実施可能」との見解を出している。同学会によると、AIDで年間100〜200人程度が生まれている。
11日に厚生労働省内で記者会見したAIDで生まれた女性は「提供者を知ることができないなど、自分の中の空白を埋められない」と話した。同会の長沖暁子・慶応大准教授は「AIDは社会的議論もないまま事実先行で進んできた。これまでの技術の問題を振り返り、改めて社会全体で考えるきっかけにしたい」と話している。(11日 22:01)