沖縄・石垣島の白保竿根田原洞穴遺跡で昨年7月に行われた調査=沖縄県提供
そもそも県は、洞穴の調査になかなか乗り出そうとしなかった。08年5月に市民団体の「八重山・白保の海を守る会」が工事中断や洞穴の調査を求めた際に、県新石垣空港課は「人骨は古くても中世(500年前)以降のものとのコメントを(専門家から)もらっている」として、詳細な調査は必要はないと文書で回答していた。
人骨が日本最古と確認された今回の年代測定も、もともとは研究者が自前の研究費をあてて行った。県が予算をつけることを決めたのは測定結果が出た後だった。
「守る会」の生島融事務局長は「発見者らの熱意がなければ、21世紀の大発見は闇に葬られることになっていただろう。県には、遺跡などの調査も行わないまま空港建設を強行しようという魂胆があったのではないかと疑わざるを得ない」と話している。
山内さんは、洞穴内で動物の骨に加えて魚の骨も見つかったことから、「古代人がここに住み、魚を持ち込んだのではないか」と考える。もしそうだとすれば、人類の歴史を塗り替える可能性もある。県は今夏に本格調査を行う予定だが、住居跡があるとみていた場所もなくなっているという。(大矢雅弘)