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国内線ゼロ…茨城空港開港も“赤字のオーラ”

国内98番目として開港、航空機が到着した茨城空港
国内98番目として開港、航空機が到着した茨城空港
Photo By 共同

 国内98番目、首都圏では3番目となる茨城空港(茨城県小美玉市)が11日、開港した。初日から飛んだ定期便は韓国・アシアナ航空のソウル1往復のみで、国内線ゼロという異例の寂しいテークオフ。事業費に約220億円をかけながら“赤字空港”となるのは確実で、利用客や見学者からは「開港はうれしいが、もう少し便数があれば…」「税金をもっと有効に使って」などと不満の声がきかれた。

 初日は唯一の定期便のほか、スカイマーク(神戸行きと羽田行き)の臨時便、台湾・復興航空(台北便)と日本航空(ハワイ便)のチャーター便の計5便が飛び立った。

 ソウル便を利用した鉾田市の主婦(59)は「成田まで1時間半だったのが20分で着いた」と笑顔。飛行機好きという福岡県筑紫郡の男性会社員(33)は羽田便に搭乗し「茨城―羽田のチケットは今回しかないかもしれない貴重な品。わざわざ茨城まで来ちゃいました」。一方で、神戸便を利用した大学生、松尾祥平さん(22)は「安くて、首都圏へのアクセスが良ければいいけど、今のままでは問題がある」と話した。

 約6700人(空港ビル管理事務所調べ)が来場したが、目立ったのは旅客よりも近隣住人。ロビーは熱気に包まれ、見物客の80代の女性が不調を訴えて救急車で搬送された。見学に訪れた石岡市の無職伊藤博さん(62)は「札幌や九州への便があったらいいのに。税金を使っているのだから、もっと有効に使って」と注文。空港どら焼き1200箱が完売し、上々のスタートだった売店の男性スタッフは「初日はよかったが、これからが心配。この定期便の数ではどうにもならないです」とこぼした。

 1300台収容の無料駐車場はあるが、マイカー無しでは最寄りのJR石岡駅前から無料シャトルバスを利用するしかない。当面は1日2往復。タクシーだと約25分で5000円前後。東京都足立区からバイクで来た男性会社員(22)は「羽田と違い、鉄道の駅から遠くて不便。これじゃあ羽田を使う」と本音を漏らした。

 離陸直前、2階の送迎デッキでは見物人から「飛行機はどこに行った?」「見えないよ」とブーイングも起きた。正面には共用する航空自衛隊百里基地があり、防犯上、特殊ガラスを使用。角度によっては滑走路を走る飛行機が途中で見えなくなった。注意書きがなかったため見物客が「どうなっているんだ」と職員に詰め寄る姿も見られた。

 開港前、茨城県と国は札幌、大阪、福岡、那覇と結んだ場合、年間約81万人の利用が見込まれると説明していたが、4路線とも実現しなかった。スカイマークが神戸と1往復運航するが、就航決定の遅れで4月16日から。アシアナとの定期便計2往復が毎日満席になったとしても、年間20万人余りにとどまる。

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