僻地医療の実際 2 [医療制度/行政]
河北新報 「無医村」回避で住民ひと安心 秋田・上小阿仁
「無医村」となる危機に陥っていた秋田県上小阿仁村に、京都府の医師有沢幸子さん(63)が村国保診療所の常勤医として赴任することが6日までに内定した。村は昨年5月、いったん無医村状態となり、公募に応じた栃木県の男性医師が同11月から診療所長として勤務。その医師も退職を申し出たため、村は再度、全国から医師を募集していた。
村によると、有沢さんは兵庫県出身。内科と小児科が専門で、北海道利尻島の病院勤務や、タイでの医療支援に従事した経歴を持つ。秋田にゆかりはないが、へき地医療に深い関心があり、夫とともに村内に引っ越して来年1月から診察を始める予定という。
村は、男性医師が本年度内の退職を申し出た3月、村ホームページ(HP)のほか、医療雑誌に広告を出して医師の募集を開始。9月にHPを見た有沢さんから連絡があり、村幹部との面接を経て診療所の常勤医に内定した。
退職を申し出た男性医師も村HPの医師募集ページを見て赴任してきた経緯がある。男性医師の早期退職という「誤算」はあったが、村のインターネットを使った作戦が再び奏功した格好だ。
上小阿仁村の人口は県内最少の約3000で、村内には開業医もなく、診療所の医師確保は深刻な課題となっている。昨年5月に1人しかいなかった常勤医が退職し、無医村状態となった同10月までは、村の要請を受けた周辺市町の医師3人が非常勤で診察していた。
小林宏晨村長は「無医村になる危険性が大いにあった。全国的な医師不足の中、本当に幸運なことだ。できるだけ長く勤務してもらいたい」と、有沢さんの赴任を待ち望んでいる。
このニュース記事を読んで少しがっかりしました。なぜ前任の男性医師が早く辞職を願い出たかが明らかにされていませんが、本当はこれを知りたかったと思います。
前任の医師とは松沢俊郎先生と言う方で、着任時のニュースを取り上げました。 《こちら》 をご覧下さい。
http://takenoko-ent.blog.so-net.ne.jp/2008-02-07
松沢先生が、「この村が、医師として最後の勤務地。人への愛情、興味が尽きない限り、診療を続けたい」と言っておられたのに、わずか数ヵ月で退職を決めた原因はどこにあったのでしょうか。私が上記記事で書いたように、村民が松沢先生にどのように接したかが気になります。
やはりこうした医療過疎地は、排他的な雰囲気のある村であることが多いような気がします。村長が苦労して確保した医師であっても、医師の側が地域医療に熱意を持って着任しても、村民は最終的によそ者として扱い、平気で前任医師と比較して悪口を言い、そしてそれは通常面と向かっては言われないために、「陰口」となり、それが耳に入った医師にとってはかなりつらいものになります。
せっかく来てくれた「お医者様」をみんなで大事に敬って下さい、とは言いません。そうではなくて、村のために、村民のために着任した特殊な技術者を持つ人に対して、村のモノサシで評価の上異分子として外にはじき出そうとしないで欲しいのです。おそらく医師でなくても同じ憂き目に遭うのではないかと想像します。
結局は、世界一人種差別の激しい国民性と言われる日本人の特性が、小さな村の中で顕出してしまうと考えるしかないのでしょうか。
村によると、有沢さんは兵庫県出身。内科と小児科が専門で、北海道利尻島の病院勤務や、タイでの医療支援に従事した経歴を持つ。秋田にゆかりはないが、へき地医療に深い関心があり、夫とともに村内に引っ越して来年1月から診察を始める予定という。
村は、男性医師が本年度内の退職を申し出た3月、村ホームページ(HP)のほか、医療雑誌に広告を出して医師の募集を開始。9月にHPを見た有沢さんから連絡があり、村幹部との面接を経て診療所の常勤医に内定した。
退職を申し出た男性医師も村HPの医師募集ページを見て赴任してきた経緯がある。男性医師の早期退職という「誤算」はあったが、村のインターネットを使った作戦が再び奏功した格好だ。
上小阿仁村の人口は県内最少の約3000で、村内には開業医もなく、診療所の医師確保は深刻な課題となっている。昨年5月に1人しかいなかった常勤医が退職し、無医村状態となった同10月までは、村の要請を受けた周辺市町の医師3人が非常勤で診察していた。
小林宏晨村長は「無医村になる危険性が大いにあった。全国的な医師不足の中、本当に幸運なことだ。できるだけ長く勤務してもらいたい」と、有沢さんの赴任を待ち望んでいる。
前任の医師とは松沢俊郎先生と言う方で、着任時のニュースを取り上げました。 《こちら》 をご覧下さい。
http://takenoko-ent.blog.so-net.ne.jp/2008-02-07
松沢先生が、「この村が、医師として最後の勤務地。人への愛情、興味が尽きない限り、診療を続けたい」と言っておられたのに、わずか数ヵ月で退職を決めた原因はどこにあったのでしょうか。私が上記記事で書いたように、村民が松沢先生にどのように接したかが気になります。
やはりこうした医療過疎地は、排他的な雰囲気のある村であることが多いような気がします。村長が苦労して確保した医師であっても、医師の側が地域医療に熱意を持って着任しても、村民は最終的によそ者として扱い、平気で前任医師と比較して悪口を言い、そしてそれは通常面と向かっては言われないために、「陰口」となり、それが耳に入った医師にとってはかなりつらいものになります。
せっかく来てくれた「お医者様」をみんなで大事に敬って下さい、とは言いません。そうではなくて、村のために、村民のために着任した特殊な技術者を持つ人に対して、村のモノサシで評価の上異分子として外にはじき出そうとしないで欲しいのです。おそらく医師でなくても同じ憂き目に遭うのではないかと想像します。
結局は、世界一人種差別の激しい国民性と言われる日本人の特性が、小さな村の中で顕出してしまうと考えるしかないのでしょうか。
松沢先生とは、公立病院時代に数年間ご一緒の病院でした。とても忍耐強く、患者様からも慕われていました。又、文学に才覚がおありでした。ご自分の意見をはっきり申される方ですが。何時も孤独だった記憶がございます。相手の意見に批判的なところもあり、相手を誤解したまま追い込むところもありました。しかし、2~3年単位の根無し草のような日々で、一つの所に落ち着かれる印象は感じられませんでした。あの先生は、何処かを点拠点なされ、無医村の地を渡り、次の方に少しの土台をお譲りになるような先生でした。同じ医療関係として理解しがたい生き方ですが、その日その日の診療には真摯で相手を労るお方だったが致します。
by sakurako (2009-08-25 16:39)
ご訪問、そして貴重な情報をありがとうございます。
僻地医療において、排他的な小社会にあって、医師を異分子としてはじき出してしまう傾向をいつも懸念して、こうした記事を書いて来ましたが、松沢先生の方も、必ずしも一カ所に腰を据えて活動されるタイプではない、ということですね。
それでも次の先生に、自分の築かれたものを引き継ぐ姿勢で来られたとすればそれは素晴らしい行き方であろうと思います。
村側が松沢先生に対してつらい態度を取ったのでないことを期待したいと思っています。
コメントありがとうございました。
by 筍ENT (2009-08-25 19:45)
この女医さんも辞めたがっていますね。呪われた村なんですね。
次の医者がどのくらいもつのか、実に楽しみですね。
by 通りすがり (2010-03-11 14:52)
有沢先生が辞意を村側に伝えたそうです。
粉骨砕身、患者のために尽くしてくださった先生に対し、
あからさまなイジメと言える行為があったと今朝の読売新聞秋田県版が
報じています。
同じ県民として情けなく、有沢先生はじめ、これまで赴任してくださった先生方に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
排他的な村は滅びるしかないでしょう。
by 新たな通りすがり (2010-03-11 15:03)
ご訪問ありがとうございます。続報をありがとうございます。
この記事の女医さんもやめたがっていますか‥。私が心配して書いていることが杞憂であることを願っていますが、それとも他にも事情があるのでしょうか。
医師にとっては、病院を離れこうした医療過疎地の診療所に一人で着任し、孤軍奮闘することを決めるのにはかなりの勇気と決断が要ります。しかし迎える村民側はそんなことはつゆ知らないのでしょうか。
医師と患者さん・住民との意識のずれが、医事紛争・医療訴訟問題と軌を一にするものであるとしたら、深刻ですね。
コメントありがとうございました。
by 筍ENT (2010-03-11 15:08)
コメントのタイミングがずれてしまいました。先のコメントは「通りすがり」さんに対して、本コメントは「新たな通りすがり」さんへ、です。
ご訪問ありがとうございます。ニュースをありがとうございます。私も読売新聞秋田版を早速読ませて頂きました。
曰く急患対応のために自費で設置した照明に「税金の無駄遣い」と言いがかり、昼休み返上の診療中、診療所内でパンを買ったら「患者を待たせて買い物か」、また自宅に嫌がらせのビラ撒き、お盆休み返上の診療後8月17日を休診にしたら、その平日休診を非難‥。
有沢先生の完全休診日は昨年わずか18日だったと言います。
ここまでひどいことをされては、地域医療に挺身を誓って来た医師の心も折れてしまいます。
村に滅びろ、とまでは言いませんが、こういうひどいことをした一部の村民の人に猛省を促したいと思います。多くの村民は少しでも有沢先生を引き留めようと必死であるとも書いてありました。
本当に悲しくなる記事です。
コメントありがとうございました。
by 筍ENT (2010-03-11 15:23)
自分は僻地医療など行った事もない、500床程度の病院の勤務医ですが、いやはや。
医者のモチベーションは多かれ少なかれ、患者や周りの職員からの感謝や必要性に支えられてるものですよね。
それも分からないような村は、思い知ってもらった方が今後の世のため人のため、と思ってしまいました。
by みるるん (2010-03-11 23:38)
将来的に、僻地医療従事(海外なども)を希望する学生です。
記事で読んで見知ったときは、素晴らしいと自分の事の様に思い
陰ながら応援したものです。
しかしながら、一部報道によると、村民の方による誹謗中傷により
精神的なストレスが飽和状態に陥り、辞退を申されたそうですね。
受ける側が、今の現代に多いお客根性であると言う事、医師と言えども
一人の人間だと言うのを無視し、牛馬のように酷使すると言うのは
人として正直、どうなのかと感じました。
村民の方も、下手をすれば女性医師の年齢を超える方が居ると思う。
自分本位に物事を考えるのではなく、他者を労わる心根をどうして
育てられなかったのか、結果がそれを物語ってしまった。
罵倒する人達を宥めて、きちんと事情説明の出来る村の重役さんやら
神様のように崇める必要は無いが、追い出す事を恥じるべきだと思う。
ただ・・思うのだけど、こう言う激務と言うのも医者冥利に尽きますね。
ぼろクソ言われても、言い返す医者が居ても良いと思う、一人の村民と
して付き合う上では、分かり合えそうな気もする。
海外の方がむしろ、激しそうです・・。
地震で被災した、海外の方の言動を見る限り、この村の比ではない。
若さがあれば、逆に踏ん張れそうだけど、年を重ねると引退しても
良いや・・と考えてしまえますからね、僻地従事はある意味で
ボランティアではないけど、それに近い仕事だと解釈しているので
開業して、自由奔放に暮らせる都会の医師とは一線を画しますね。
結果は残念でしたね、次の後任が現れることを願いましょう。
by 通りすがり (2010-03-12 00:57)
>世界一人種差別の激しい国民性と言われる日本人の特性
そんなこといわれてるんですか?
確かに今回の件をみるとものすごい閉鎖的ですね・・・。
なくなるべくしてなくなる所を延命してもむなしいだけなのかも
by ひろ (2010-03-12 01:45)
>世界一人種差別の激しい国民性と言われる日本人の特性
日本人(と言うか政治家)が反論しない事を良い事に、言いたい放題言われているだけですので、あまり真に受けない方が良いです。
ぶっちゃけ、日本人に対する差別発言です。
by 右から左へ (2010-03-12 03:19)