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2010鳩山政権

朝鮮学校、無償化除外へ 文科省「教育内容の確認困難」

2010年3月12日4時26分

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 鳩山内閣は11日、4月に実施予定の「高校無償化」をめぐり、全国の朝鮮学校を制度の対象から除外する方針を固めた。拉致問題が解決しないことから閣内にも除外を求める声があり、日本の高校に準じた教育が行われていることを確認できる国同士の正式なルートがない以上、他の学校と同等に扱うことはできないと判断したという。

 鳩山由紀夫首相は11日夕、この問題について、記者団に「客観的に(日本の)高校の課程に類すると言えるか、ということになる。何らかの客観的な基準を作ることが必要だ」「ある程度時間がかかるんじゃないか」と述べた。ただし、世論には「差別的な扱いをすべきではない」という意見も強い。文部科学省には「教育内容を客観的にチェックする第三者機関を設け、そこで認められたら除外を解除できるようにしてはどうか」という案もあり、「永久除外」にはならない可能性もある。だが、その場合でも実現には時間が必要で、制度開始の4月に間に合わせるのは不可能な状況だ。

 高校無償化は、民主党がマニフェストの目玉として掲げた。公立の高校生からは授業料を取らず、私立の生徒についても公立の授業料と同等額(年間約12万円・低所得世帯は増額)を支給。「日本の社会全体で広く学びを支える」という理念から、高校段階に該当する外国人学校の生徒についても私立高と同額を支給する考えで、すでに予算も組まれている。

 しかし、中井洽・拉致担当相は昨年12月、拉致問題が進展しないことから、朝鮮学校を除外するよう文科省側に要請。鳩山首相も「どんなことを教えているのか見えない」と教育内容に疑問を投げかけ、除外を示唆する発言を重ねてきた。民主党は、高校無償化を夏の参院選のアピールポイントにしたい考えで、そのためには国会審議を早く処理して今月中に法案を成立させ、新年度の当初から実施に移したい事情もある。

 文科省は、制度の対象とする学校の基準について、無償化法案には直接盛り込まず、国会の議決が必要ない省令で定めたい考えだ。省令には「母国の教育法制の中で、高校に相当する学校だと位置づけられていること」「外交ルートを通じてそれを本国に問い合わせることが可能であること」という内容の規定を設ける案も出ている。この案に従えば、国交がない北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は自動的に対象から除外されることになる。(青池学、見市紀世子)

     ◇

 〈朝鮮学校〉 文科省によると、幼稚園から高校の各段階の学校は全国で計73校(児童生徒約8300人)あり、そのうち高校段階の「高級学校」は11校(休校1校、生徒約1900人)。学校教育法上は一般の小中高校ではなく、各種学校に位置づけられる。政府の方針では、インターナショナルスクール、中華学校、韓国学校など各種学校に該当する他の外国人学校は無償化制度が適用される。

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