【民主党を支援する日教組の暗部】善意の寄付でマネーロンダリングか

2010.03.09

 幹部4人の逮捕者を出した北海道教職員組合(北教組)の違法献金事件の余波は、国会も揺るがした。今月3日の参院予算委員会で、自民党の義家弘介氏は、同じ日本教職員組合(日教組)傘下の山梨県教職員組合(山教組)による政治資金規正法違反事件にも言及。略式起訴され停職処分も受けた教員が、昨年、何事もなかったように教頭に昇進したことを明らかにしたのだ。

 義家氏の指摘に委員会室はどよめいた。産経新聞がかねてから報じていた問題だが、知らなかった国会議員が多かったのだ。山教組は、北教組のようにあからさまな反日偏向教育を行っているわけではない。むしろ、文部科学省の定めた「日の丸、君が代」の取り決めにも従っている。

 ところが、山教組は6年前の参院選で、元山教組委員長である民主党の輿石東幹事長代行を支援するため、組織をフル動員し、学校の備品、FAXなどを使った選挙運動を繰り広げた。

 この時、冒頭でも触れた、組合員から集めた寄付金を収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反事件が起きている。当時、輿石氏は「資金集めについて自分は何も知らない」と語った。これには組織を挙げ、リスクを冒してまで輿石氏を支えた山教組にも波紋が広がった。

 山教組の問題は深刻だ。事件で起訴された教員が昇進していく事実が象徴するように、各自治体の教育委員会や県・市町村の行政にまで、日教組の隠然たる組織力が及んでいると思われるのだ。

 教員の昇進基準が、教育の能力や熱意、子供たちへの情熱よりも、県教組のために、どれだけ忠実に組合活動をしたかで決められていくとすれば、教育にとって重大な問題といえる。

 輿石氏は昨年1月、日教組の会合で「教育の政治的中立はあり得ない」「(これからも)日教組とともに戦っていく」などと公然と語ったという。なぜ、教育基本法や教育公務員特例法にも抵触しかねない暴言が見過ごされているのか。

 2月17日、自民党の赤池誠前衆院議員が主催した「教育再生in山梨」という集会があり、私も参加した。そこで、義家氏がまた衝撃的な事実を暴露した。

 昨年5月の山教組定期大会で“子どもの学び保障救援カンパ”が全会一致で採択され、翌月、日教組が全国で行うカンパになった。主に、あしなが育英会奨学金に寄付するとされたが、集まった約1億7000万円から、あしなが育英会に寄付されたのは7000万円だけ。残りは連合に寄付され、連合から日教組へ助成金として交付されたというのである。

 これは、週刊新潮(3月11日号)でも詳しく報じられている。善意の寄付者を欺く行為、いや、マネーロンダリングと言ってもいい。こんな組織が民主党政権を支えているのだ。(ジャーナリスト・評論家)

■西村幸祐(にしむら・こうゆう)1952年、東京都生まれ。慶大在学中より第6次「三田文学」編集担当。80年代後半からF1やスポーツをテーマに執筆活動を始め、その後、拉致問題や歴史認識にも幅を広げる。現在「撃論ムック」編集長、「表現者」編集委員。著書に「反日の構造」「イチローと村上春樹は、いつビートルズを聴いたのか」など。2月末、「メディア・パトロール・ジャパン」を開設した。