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温室ガス総量規制が軸、原発推進明記…基本法案

 地球温暖化問題に関する閣僚委員会が11日夜、首相官邸で開かれ、今国会に提出する地球温暖化対策基本法案の内容について合意した。

 焦点となっていた国内排出量取引制度では、企業の温室効果ガスの排出上限をどのように設定するかについて、「排出総量」を基本としながらも、単位生産量あたりの排出量などの「効率目標」も検討するとした。原子力発電については、国民の理解と安全確保を前提に推進する、との内容で落ち着いた。12日に閣議決定する。

 法案には、「2020年までに25%削減(1990年比)」の中期目標が、公平な国際枠組みなどに合意した場合という前提付きで盛り込まれる。

 排出量取引制度については、環境省が作成した当初案では、企業の排出上限を排出総量のみとしていた。これは、効率目標を上限にした場合、省エネが進んでも、生産量が増えれば排出量も増え、結果的に削減につながらないこともあり得るからだ。しかし、「生産抑制につながりかねず経済に悪影響を与える」と主張する産業界や連合に配慮し、効率目標も検討するとした。

 制度の創設時期は明示しておらず、法案成立後1年以内に法的措置を講じる。排出総量と効率目標がどのような形で規制に組み込まれるか、具体的な制度設計は今後の検討に委ねられた。

 発電時に温室効果ガスを出さない原子力発電については、「温暖化対策に必要不可欠」(直嶋経産相)とする意見と、「切り札にすべきでない」(社民党の福島党首)との主張があったが、温暖化対策の中で位置付けていくことになった。

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーを電力会社が一定価格で買い取る制度の創設も盛り込まれた。

 ◆基本法案の骨子◆

 【目標】

 ▼中期目標(20年までに25%削減)は全主要国が公平な枠組みなどに合意時点で設定

 ▼中期目標設定までは長期目標(50年までに80%削減)達成に向け、基本的施策実施

 ▼世界全体の排出量を50年までに半減する目標を各国と共有するよう努める

 ▼再生可能エネルギー(太陽光や風力など)の供給を20年までに10%に

 【基本的施策】

 ▼国内排出量取引制度を創設。企業の排出上限は総量を基本に効率目標も検討

 ▼地球温暖化対策税の11年度実施に向け検討

 ▼再生可能エネルギーを電力会社が高値で買い取る制度を創設

 ▼原子力発電は安全確保と国民理解を前提に推進

2010年3月12日03時02分  読売新聞)
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