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「影響、十分開示を」 温暖化法案で経団連会長が負担増に苦言
鳩山由紀夫首相らが11日にまとめた地球温暖化対策基本法案は、国民生活や企業活動に大きな負担を強いる内容だ。だが、2020年の温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減するという“国際公約”を優先して行われた政府内の議論は実質的に非公開で進んだ。こうした政府の動きに日本経団連の御手洗冨士夫会長が同日、不満を表明するなど、前のめりで導いた結論への反発は強い。
「もう少し法案の内容や期待される効果、雇用や国民生活に対する影響などを十分に開示し、国民各層との対話を進めてほしい」
御手洗氏は同日の名古屋市での会見でこう語った。
実際、法案には、地球温暖化対策税(環境税)や電気料金の値上げにつながる見込みの再生可能エネルギーの全量買い取り制度など、家庭や企業にとって実質増税となりそうな政策項目がズラリと盛り込まれているが、国民的な合意形成はほとんどできていない。
経済産業省は全量買い取り制度を実施した場合、制度開始15年後に最大1・4兆円の買い取り費用が必要になると試算。民間の電気事業連合会も90年比20%削減の想定でも環境税、全量買い取り、国内排出量取引の3つの対策で、年間約2・4兆円の負担増が見込まれるとしており、法案が示す対策が経済成長への大きな下押し圧力となることは避けられない。
だが、閣僚委員会の副大臣級会合で行われた議論も非公開で、「内向きの議論中心で、問題が多かった」(直嶋正行経産相)と、閣内や支持基盤の連合からも批判が出たほどだ。
この日の閣僚委員会後に行われた会見で、小沢鋭仁環境相は「マニフェスト(政権公約)という形で選挙で問わせてもらった」と語り、政府の姿勢を正当化したが、増税の政策準備だけ一人歩きしそうな法案への批判は避けられない。