地球温暖化対策基本法案をめぐり、10省庁による副大臣級検討チームが9日、開かれたが意見がまとまらず、議論は閣僚委員会へと持ち越されることになった。意見が対立している国内排出量取引制度については、チーム責任者の仙谷由人国家戦略相と小沢鋭仁環境相で最終案をつくり、11日に開く同委員会に提示する。混迷を続けた議論の決着は、鳩山由紀夫首相の「裁定」にゆだねられた。
法案は今国会への提出が予定されており、12日の閣議決定を目指している。
排出量取引は、企業などの二酸化炭素(CO2)の排出量に上限を設けて、その過不足分の取引を認めることでCO2削減をねらう制度。
制度の創設を法案に盛り込むことについては政府内の意見が一致しているものの、その表現ぶりをめぐって調整が難航している。
環境省は当初、国が企業などの排出総量を決める方式を法案に明記するよう提案。これに対し、政府の規制を嫌う一部産業界や労働組合の意向に沿って、経済産業省は生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単位方式」も認めるような条文にすることを求めた。原単位方式の場合、生産量が増えれば排出量も増える懸念がある。
政府内では約1カ月にわたる議論の末に、環境省が「総量方式のほか、原単位の方法も検討を行う」との折衷案を提示。これに対して外務省が「総量方式を基本とする」との修正案を主張した。一方、経産省は「総量方式、原単位方式、その他の方法の検討を行う」という表現で、総量と原単位を同列に扱うよう求め、この日も議論を続けたが、まとまらなかった。
基本法案について鳩山首相は6日、記者団に対し「産業界の気持ちは分かるが(温暖化対策を)後退させてはならず、骨抜きのように思われてもならない」と述べている。