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1990年代、米国堕胎防止協会は問答式キャンペーン広告を出した。 誰でも一度ぐらいは聞いたことがあるほど、後に有名になった広告だ。
①10代の少女が妊娠をしたが、彼女の夫は子供のパパではありません。
②3人の子供がいる家族があるが、最初の子供は視覚障害児、2人目は聴覚障害児、3人目は結核患者です。 母も結核患者だが、4人目の子供を身ごもりました。
③非常に貧しい暮らしをしている家族があるが、子供は14人です。 母は15人目の子供を妊娠しました。
広告は「あなたはこの場合、堕胎を勧めますか」と尋ねる。 この時、何気なく‘はい’と答えると、すぐに後悔することになる。 ①はイエス・キリスト②はベートーベン③は有名な聖書学者ジョン・ウェスリーという答えが、ごま粒ほどの小さな文字で続くためだ。
こういう広告にもかかわらず、米国の保守派牧師パット・ロバートソンは堕胎を擁護した。 彼は「犯罪率を低めるにはすべての黒人の赤ちゃんを堕胎すればよい」と主張した。 「ヘンな経済学」のスチーブン・レビットはこれを統計で立証した。 73年初めの堕胎合法化が10余年後に罪を犯す黒人不良青少年の誕生を大きく減らし、このため90年代後半に犯罪率が低下したということだ。 米国の堕胎はほとんど、家が貧しかったり望まない妊娠のために行われるため、こうした相関関係が可能だ。
しかし東洋に渡ってくると話は異なる。 dpa通信は2日前、インドの堕胎実態を報道した。 さる20年間、少なくとも1000万人の女児が堕胎で消えたが、その理由は男児選好の伝統のためだった。 息子に家門を継がせ、娘は持参金を持たせて家から出すインドでは、息子選好が根強い。
チッと舌打ちして終わるには何か気にかかかる。 他人事ではないからだ。 韓国の堕胎件数は米国とほぼ同じ年間150万~200万件と推算される。 人口当たりの堕胎率では世界最高だ。 20秒に1人ずつ新たな生命が‘消される’が、やはり男児選好が大きな理由だ。
61年に大韓家族計画協会として発足した大韓家族保健福祉協会が10日、人口保健福祉協会に看板を掛け替える。 家族計画協会時代には堕胎をほう助したという非難も受けた。 しかしいまや世の中が180度変わった。 当時の「2人だけ産んで育てよう」というスローガンは、80年代に「立派に育てた娘一人は、十人の息子もうらやましくない」を経て、最近「パパ、一人は嫌だ」に変わった。 次のスローガンはこう変わるかもしれない。 「あなたが今日‘消した’生命は、未来のベートーベンやキュリー夫人かもしれない」