チップス工場の森林伐採問題に揺るがされている加計呂痲島では、
激しい賛否がうず巻いているようだ。私は反対運動をしている関係
者から話を聞いて資料をいただいたが、賛成派の人達とは接触がな
い。しかしマスコミの報道で、だいたい姿が見えたきた。
工場の誘致に最も積極的なのは三島島民会議というところで、加
計呂痲島、請島、与路島出身の関係者で組織されている。この団体
は瀬戸内町長に推進のための嘆願書を提出している。
その中で瀬戸内町は限界集落を多く抱えて、集落形態の危機に直
面している。このままでは地域は衰退の一途。そうした中で雇用の
場を提供するチップス工場は、人口減を食い止めるひとつの打開策
になっていると主張している。
また工場建設予定地の瀬武集落は、集落の総意として賛成してい
るという。ここは人口が26世帯で44人。高齢化率が60%を超
えて限界集落の典型である。かつは実久村の中心地で栄えていたが、
今は役場の跡地があるだけで昔の面影もない。昔を知る人達が何と
かしたいとい思いがあるのも分からないではない。
そうした状況を把握した会社側は、集落に生活支援まで申し出て
いるという。過疎の地域に企業が進出しようとするときによく聞く
話でもある。たいていは誇大であったり期待はずれの場合が多い。
ここから見えてくるのは、賛成しているのが高齢者、古いから地
域に住んでいる人達。年金生活者などだ。一方で反対しているのは
宿泊、お土産やなどの観光業を中心とした人達、若者やIターンの
人達だ。年齢層や職業の相違が鮮明だ。
私はこの時にひとつの有名な言葉が頭に浮かんだものである。そ
れは過疎に苦しんでいるところに求められる人材は「若者、よそ者
バカ者」である。今回の場合、どちらの主張にこれらの人材が多く
含まれているかは明白である。
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