東京都青少年健全育成条例改正問題のまとめサイト
2010年03月06日 開設
<参考リンクは随時更新>
【 重要 】 「架空創作表現規制禁止の法制化を求める署名」についての注意
高河ゆん氏(漫画家) 
● 東京都青少年健全育成条例改正問題についての簡単な解説 ●

<東京都青少年健全育成条例とは?>
 正式名称は「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(以下、都条例)です。超大雑把に言えば、「東京都当局が青少年に悪影響を及ぼすと判断した“不健全な作品”(いわゆる不健全図書)の販売を規制する」という条例です。
 先日、石原慎太郎都知事と都当局は、今年3月に実施予定の都条例改正によって暴力描写などの反社会的表現を含んだ作品への規制強化と共に、児童ポルノ撲滅運動の一環として「非実在青少年」による性的表現を含んだ作品も規制していくという方針を表明しました。(石原都知事の答弁。ニコニコ動画版Youtube版



<「非実在青少年」とは?>
 東京都当局による新造語です。「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」を指します (はてなキーワード)。要するに年齢設定が18歳未満である少年/少女のキャラクターの事です。また、たとえ成人のキャラクターであっても、外見上が18歳未満であればこの定義に含まれる可能性があります。
 もし都当局が示した原案通りに都条例が改正された場合、今年の7月1日(施行日)から少年/少女のキャラクターの下着姿・裸体姿・性描写が含まれた作品のうち、都当局から「不健全」と裁定されたものは「不健全図書」として規制を受ける事になります。



<この改正案を考えたのは一体誰?>
 東京都の諮問機関「東京都青少年問題協議会」(以下、青少協)です。この青少協は、児童ポルノ法改正による漫画・アニメ・ゲームの規制の必要性を強硬に主張している警察関係団体幹部、キリスト教団体顧問、大学教授、PTA会長などの委員ばかりで構成されています。ちなみに青少協で行われた都条例改正案の議論では、数多くの差別発言と暴言が飛び交っていた(例:「オタクは認知障害者」)事が一次資料で明らかになっており、大きな波紋を呼びました。詳しくはこちらのリンク集を参考にして下さい


<この改正案で規制されるジャンルは?>
 漫画、アニメ、ゲーム、映画、小説、つまり全ジャンルです。


<規制されるのは成人向けの作品だけ?>
 成人向けから一般向けまで全ての作品が規制対象になります。少年向け、少女向け、青年向け、レディース向け、ボーイズラブ(BL)等々、例外はひとつもありません。特に都当局は、以前から成人向け漫画と同じようにBL漫画も問題視している為に(青少協でもBL漫画を批判する声が上がりました)、改正案成立を契機にしてBL漫画を徹底的に締め付けてくる懸念があります。詳しくはこちらのリンク集を参考にして下さい


<声優の演技まで規制?>
 18歳未満の少年/少女のキャラクターを表現した声によるセクシャルな演技が含まれるアニメ、ゲーム、ドラマCDなどが、不健全図書として規制される可能性は大いにあります。なお、音声までをも規制対象とする事になったのは、キリスト教団体「ECPAT/ストップ子ども買春の会」の顧問である青少協委員(元警察官僚)が強く働きかけたからではないかと指摘されています。その根拠として、「ECPAT/ストップ子ども買春の会」が10年以上前から政府に対し、児童ポルノ禁止法に絵と文章、そして音声を含めるように要求し続けているという事実が挙げられています。 (参照


<同人誌や同人ソフトも規制?>
 青少協で行われた都条例改正案の議論の中で、都当局の担当者が「企業ではなく個人が発行している同人誌や同人ソフトを審査し、規制する事は事務的に難しい」といった趣旨の発言をしていますが、何らかの形で規制をかけてくるものと思われます。最も可能性が高いと指摘されているのは、東京都内で同人誌即売会を開催する事への規制です。コミケット準備会もその点を危惧しているようです。 (参照


<東京都の規制だから他県には関係ないのでは?>
 厄介な事に、この規制の影響は全国に及びます。都当局から不健全図書として処断された作品は、流通会社が取り扱わなくなる為に他県での販売が非常に難しくなるからです。これはこの国の特殊な流通事情が原因です。 (参照


<規制に反対するのにはどうすれば良いのか?>
 詳しくはこちらのリンク集を参考にして下さい。都議に反対意見を伝える為の各手段の効果を単純に比較すると「直接陳情>電話>手紙・葉書>電子メール」になります。現在、各都議のもとに電子メールが殺到している状態だという話なので、手紙か葉書を送った方が目に留まる確率が高いです。FAXは厳禁です。都議側に経費的負担をかけるので絶対に止めて下さい。
 
審議開始は3月18日、残り時間はあと僅かです。
<この問題をもっと詳しく知りたい人に>
● 「都条例“非実在青少年”の規制について」 藤本由香里氏(評論家)
  ※Mixiアカウントを持っていない人はこちら
● 都条例改正案の全文と解説
● 日本雑誌協会と日本書籍出版協会による反対意見
  ※意見書の原文(PDF)はこちら

● 山口貴士弁護士(リンク総合法律事務所)による反対意見
● 都条例改正によって影響があるアニメ・漫画・ゲームの例
● 「緊急集会!どうなる都条例!?」 主催:コンテンツ文化研究会 ※3月7日に開催
● 「緊急集会!どうなる都条例!?」に行ってみた
<都条例によるボーイズラブ規制について>
● 「ボーイズラブへの規制は若い層や女性、性的少数者への思想統制ではないか」(朝日新聞掲載)
● 「同人誌の苦情って、一体誰が都議員に持ち込んでるの?それから、その同人誌って実はBLじゃないの?」
● 「東京都は以前からボーイズラブやレディースコミックを不健全図書指定しています」
<都条例改正案の作成に関わった人物ならびにキリスト教団体「ECPAT/ストップ子ども買春の会」について>
● 東京都青少年問題協議会 「規制に反対するヲタクは認知障害者
● 「ECPAT/ストップ子ども買春の会」についての参考資料  ※保守派による同団体批判
● 「ECPAT/ストップ子ども買春の会」代表の発言
「いま児童ポルノ法の見直しについて議論に上るのは絵が入るか否かという、極めて限定された視覚要素についてですが、我々は音声とか文章とかも想定しています
<規制に反対の声を上げたい人へ>
● 「都条例への反対方法」 夏目房之介氏(漫画評論家)
「みんなに心掛けて欲しいこと 」 ※都議に反対意見を伝える際の詳細なアドバイス
● 初心者向け反対活動の方法(簡易版)
● コンテンツ文化研究会へご寄付のお願い ※都議に直接陳情を行っている規制反対派団体です
都議会民主党の重要議員 ※ブログの下にある「以下、現在の政治情勢」を参照
● 都条例改正案を審議する都議会総務委員会メンバーの一覧
● 選挙区別都議会議員名簿 ※都民の方はここで地元の議員を調べる事が出来ます
<参考資料>
● 日本書籍出版協会と日本雑誌協会による都条例改正反対意見書(PDF)
● 日本出版労働組合連合会による都条例改正反対意見書(PDF)
● 表現規制問題を考える為の資料(AMAZON)
<管理人からの注意>
 署名TV「架空創作表現規制禁止の法制化を求める署名」への署名の呼びかけが、Twitterを中心にして広がっています。
 誤解されている方が大変多いようですが、このオンライン署名は都条例改正に反対する事を目的にして始まったものではありません。
 そもそもこれは、昨年の5月に極左系の反ポルノ団体「ポルノ・買春問題研究会」(通称・APP研)が引き起こしたレイプレイ事件の最中に設置されたオンライン署名です。受付期限日は都議会の本会議が既に終了している5月ですし、署名提出先も国会になっています(都議会には社民党・国民新党・改革クラブの議席は存在しません)。それでも署名をするのであれば、以上の事を念頭に置いてから行って下さい。
 なお私は署名をしていません。“架空創作表現弾圧者監視委員会”の創設要求など、あまりにも非現実的で首を傾げる点が幾つもあるからです。

※Twitterを利用されている方は、この注意を拡散していただけないでしょうか。よろしくお願いします。
管理人:AGathoclES(反ヲタク国会議員リスト)