東北大病院(仙台市)は4日、前立腺がんの手術を行う患者を取り違え、がんではない別の男性に手術を行っていたと発表した。前立腺の検査後、書類を作成する際に取り違えたのが原因。2人とも体調に問題はないというが、病院側は2人に謝罪した。
同病院によると、07年6月28日、前立腺がんの疑いのある宮城県内の70代と50代の男性2人に精密検査(針生検)を行った。病理診断医が細胞組織を調べ、70代男性にがんは見つからなかったが50代男性はがんと判明した。
しかし、病理診断医が2人の診断報告書を作成する際、それぞれの所見を取り違えてパソコンに入力。このため、がんだった50代男性は検査後に退院し、前立腺肥大の70代男性に同年12月、前立腺をすべて摘出する手術が行われた。
病理診断医が09年12月、70代男性の術後の診断報告書が作成されていないことに気付き、ミスが発覚した。
50代男性は発覚後に摘出手術を受け、病院側は「根治した」としているが、日常生活を送っていた2年間にがんが悪化する可能性はあったという。【比嘉洋】
毎日新聞 2010年3月5日 東京朝刊