熊本市の熊本市民病院が時間外勤務手当を一部支払っていなかったとして、熊本労働基準監督署が同病院に不払い分を支給するよう勧告していたことが分かった。病院は3日の予算決算委員会保健福祉分科会で勧告を受け入れたことを報告した。市は09年度3月補正予算案に07~09年度の追加支給分計2億2000万円を計上している。
病院は国家公務員の給与を定めた法律に準じた市の条例で医師や看護師、医療技術職の時間外勤務手当の積算基礎を「給料月額」と「地域手当」としていた。労基署は労働基準法に基づき「初任給調整手当」と「医療等業務従事手当」も加えるよう09年3月、勧告した。
これを受け病院は医師79人、看護師435人、医療技術職82人の計596人に3年度分の不払い分全額を4月以降に支払う。医師で平均240万円が追加支給される。また、労基署の勧告に従い、給与規定も改正する。
市民病院は「不払いの原因は法の見解の相違と考えている。09年度の財政に大きな影響が出るが、医師らの処遇が改善されることは前向きにとらえたい」とコメントした。【和田大典】
毎日新聞 2010年3月5日 地方版