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日米密約:核問題 「密約」を教訓に--被爆二世団体連絡協前会長 /長崎

 「国がだましていたということか」--。日米核密約問題に関する有識者委員会の報告書が明らかになった9日、核搭載艦船が事前協議なしに日本に寄港することを当時の政府が黙認し続けていたことが分かり、被爆地・長崎では一斉に被爆者らから非難する声が上がった。【錦織祐一、阿部弘賢、山下誠吾】

 ◇「密約」を教訓に--被爆二世団体連絡協前会長

 長崎原爆被災者協議会の山田拓民事務局長(78)=長崎市=は「思った以上に調べてあり、よくやってくれたと思う」と評価。しかし「密約の事実への憤りより、それを隠してきた過去の日本政府の態度への憤りの方が強い」と非難した。

 在日米軍を監視し、収集した情報をホームページで公開している市民団体「リムピース」編集委員の篠崎正人さん(62)=佐世保市=は、米国が艦船や航空機からの戦術核撤去を宣言した91年以降も、「密約」が公表されなかったことを問題視。「国の安全や国民の利益を守るために公開できないことがあっても、隠す利益がなくなった後も国民にうそをついていたことは許されることではなく、政治への信頼は失われる」と批判した。

 「高校生平和大使」を指導する全国被爆二世団体連絡協議会の平野伸人前会長(63)=長崎市=は「長崎港にも核兵器が持ち込まれていた可能性がある。私たちが平和運動を続けてきた裏で、恐ろしい現実があったということを改めて突き付けられた」とあきれ気味。

 平野さんは、神戸市が神戸港に入港する外国艦艇に非核証明書の提出を義務付ける「非核神戸方式」を例に挙げ「ぜひ県も取り入れてほしい。この密約を教訓にしなければ、また同じことが繰り返される」と語った。

 ◇非核三原則法制化を--原水禁議長

 原水爆禁止日本国民会議の川野浩一議長(70)=長与町=は「毎年8月9日の平和祈念式典で、長崎市長は非核三原則の法制化を求めてきたが、歴代首相は法制化を明言しなかった。これは密約のためだった」と断じた。

 密約を発表した民主党政権に対しては「鳩山由紀夫首相は昨年8月9日、法制化を『前向きに考える』と発言したが、これをうやむやにすれば民主党も自民党と一緒になる」と釘を刺した。

 県原爆被爆教職員の会副会長で活水高講師の山川剛さん(73)=長崎市=は「今まで密約を否定してきた日本政府を誰でも『おかしい』と思うはず。その真意をはっきりさせないといけない」と指摘。そして「私は、外務省は『将来、核保有したい』と考えていたのではないかと思う。今後は改めて『日本に核保有の意図はない』とはっきりさせ、その証拠としても非核三原則を絶対に法制化すべきだ」と強調した。

〔長崎版〕

毎日新聞 2010年3月10日 地方版

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