財源不足・地方から反発 子ども手当満額支給に暗雲 (2/2ページ)

2010.3.10 05:00

 山中市長は昨年末、地方負担によって保育サービスの低下など子育て環境に影響するとして、負担拒否(その後撤回)の姿勢を打ち出している。11年度以降の地方負担については全国知事会も拒否する方針を打ち出しており、満額支給へのハードルは一段と高くなっている。

 さらに、景気刺激策を兼ねた子ども手当については、その経済効果をめぐっても、「子ども手当のうち(消費に回る)消費性向が0.7というのは高すぎないか」(自民党の林芳正参院政審会長)と政府の見通しの甘さを指摘する見方は多い。

 ◆強い貯蓄志向

 菅氏は「子供のいる家庭は消費性向が高い」と強調するが、第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「麻生政権の定額給付金の消費性向は約0.3。子ども手当も4割程度が消費に回ればいい方だ」と懐疑的で、「消費や景気の押し上げ効果は限られる」と指摘する。

 電通総研が子ども手当の使途を聞いた昨年末の調査でも、5割超が「子供の貯蓄や保険」と回答し、レジャーや旅行、外食はごくわずかにとどまった。

 与党内でも、社民党の阿部知子政審会長が「喫緊の課題は待機児童対策。手当の倍増より現物給付の充実を図るべき」と主張し、11年度以降の満額支給を見直して保育所整備などに充てるよう求めている。民主党が今夏の参院選で示す新たなマニフェストには、「満額」支給の方針修正が加えられる可能性も強まっている。(田端素央、柿内公輔)

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