01年全日本フライ級新人王・伊礼選手死去日本フライ級10位の伊礼喜洋選手(いれい・よしひろ、八王子中屋)が9日午前7時4分、急性硬膜下血腫のため東京都立川市の国立病院東京災害医療センターで死亡した。22歳だった。日本でプロボクサーが試合中のダメージが原因で死亡するのは、96年4月の試合で意識を失い昨年12月に亡くなった中島徹也選手(ハラダ)以来で、34人目になる。伊礼選手は3月24日に東京・八王子市民会館で行われたフライ級6回戦で内藤佳紀(横田スポーツ)と対戦。激しい打ち合いの末判定負けした直後に意識を失い、同病院に運ばれ開頭手術を受けた。以後集中治療が続けられ、手を握った際に反応などがあったという。だが最後まで意識は戻らず、帰らぬ人となった。今日10日に八王子市内でだびに付され、故郷の沖縄で葬儀が行われる。 伊礼選手はボクシングマンガ「はじめの一歩」の影響を受け、東京工科大の現役学生としてプロデビューした。左フックが武器の右ファイターで、昨年12月に無傷の8連勝でフライ級の全日本新人王を制した。「絶対引かないのが自分のボクシング」と強気に話す一方で「パンチをもらわない技術も身につけたい」と、夢のタイトル獲得へひと一倍熱心に練習に励んでいた。 ◆プロボクサーのリング禍 30年8月29日、元日本ライト級王者小林信夫選手がKOされた直後に意識不明になり、3日後の9月1日に死亡したのが初めて。今回の伊礼選手は、96年4月の試合で意識不明となり、昨年12月に死去した中島徹也選手に続いて34人目。日本ボクシングコミッション(JBC)設立後は30人目。 日本ボクシングコミッション(JBC)小島茂事務局長の話 8戦全勝のホープが6回戦でああいう事故になって驚くとともに、非常に残念。あらためてボクシングは何が起こるか分からないという認識を持たなければならない。今後はジム、JBC、医療側が従来の前日計量、CT検査などに加え、総合的見地から予防に必要なことをやるよう、徹底させたい。
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