訃報 安らかなご永眠をお祈りいたします

ボクシング東洋太平洋Sウエルター級

 現役王者竹地さん自殺

 東洋太平洋スーパーウエルター級王者竹地盛治さん(24=中外)が自殺した。10日午前6時40分ごろ、香川県琴平町の「こんぴらさん」表参道で竹地さんが手すりにひもをくくりつけ、首をつっているのを通行人が見つけ、琴平署に通報した。署員が駆けつけたところ、すでに死亡していた。竹地さんは昨年7月、同級暫定王座に就き、今年5月の統一戦に勝ち正王者となったばかり。日本ジム所属選手でタイトルを保持する現役選手が自ら命を断ったのは初めて。ボクシング界に衝撃が走った。

遺書なし

 現役の王者が自ら命を断つ衝撃の事件が起きた。琴平署によると、この日早朝、首をつった竹地さんが発見され、通報された。署員がすぐに駆けつけたが、すでに死亡していた。死亡推定時刻は10日午前1時ごろ。Tシャツに短いズボン姿で、靴は現場近くに放置された竹地さんの車に残されていた。琴平署は竹地さんの体にほかに外傷がないことや、現場の状況から自殺と断定した。遺書などはなく、関係者も琴平署の調べに「思い当たることは何もない」と話している。ただ親しい知人によると、「プライベートなことで悩んでいたようだ」という。

 現場は名所「こんぴらさん」の表参道、土産物店が並ぶ路地の用水路付近。鉄さくに直径12ミリの綿ロープを掛け、首をつっていたという。竹地さんはボクシングのトレーニングの1つとしてお客さんをかごに乗せ、この表参道の長い石段を上る仕事をしていた。前日9日も元気に仕事をこなす姿が目撃されている。

 昨年7月に東洋太平洋スーパーウエルター級暫定王座を獲得した竹地さんは今年5月、統一戦に判定勝ちし正王者に就いたばかりだった。10月14日に地元でタイ選手とノンタイトルの試合が決まっており、張り切っていたという。来年にも世界挑戦する予定もあった。突然の自殺に周囲は驚きを隠せず、父輝明さんは「ボクシングも仕事も頑張っていた。なぜこんなことになったのか分からない」と声を震わせた。現役のタイトル保持者が自ら命を断つのは日本ボクシング史上初めて。ボクシング界にも大きな衝撃が走った。

(写真=竹地さんが自殺した場所には花が供えられていた=香川県琴平町)

◆竹地盛治(たけち・せいじ)
 1977年(昭和52年)4月27日、香川県琴南町生まれ。多度津工時代にボクシングを始め、アマで10勝9敗の戦績を残す。97年6月デビュー。昨年7月、宋国烈(韓国)を負傷判定で破って、東洋太平洋スーパーウエルター級王座獲得。同8月21日の本部決定で暫定王者となり、同11月の宋との再戦は負傷引き分けで初防衛に成功。今年1月、東洋太平洋ミドル級王者だったケビン・パーマー(36=金子)に挑戦も判定負け。同5月に東洋太平洋スーパーウエルター級王者石田順裕(金沢)を判定で下して、同王座を統一した。戦績は10勝(2KO)3敗2分け。身長170センチ。左ボクサーファイター。

これから、なのに

 ■日本ボクシングコミッション(JBC)小島茂事務局長の話 関西事務局から連絡を受け驚いている。(日本ジム所属の)タイトルホルダーが自殺したのは記憶にない。竹地は1月のパーマー戦でよく手数を出し、大善戦した。だれも挑戦者のいなかったパーマーに自ら名乗り出るなど、すばらしいハートも持っていた。5月の石田戦で暫定も取れ、非常に喜んでいたと聞いていた。やっと花開いて、さあこれからという時だけに、残念でならない。

 ■かつて所属したヨネクラジム・米倉健司会長の話 4月に高松へ行って会ったばかり。明るくて後輩にも人望があり自殺するような男じゃなかった。ただびっくりしている。


[訃報ページ]