【第33回】 2010年03月09日
トヨタの電子制御問題に隠れた事実!
アメリカ人特有のアクセルの踏み方
一般的アメリカ人の運転をみると、運転者自身の左から来ている車の接近度合いの見定め(車の速度の推測)がとても甘い。本線側を走行している側からすれば「おいおい、そのタイミングで曲がって来る気か!?」と驚く場合が多い。目の前の信号表示は青なのに、目の前で、右方向から左方向へ車が横断するのだ。
最悪の場合、「Tボーン(NASCARなどでの米レース用語の一種。TボーンステーキのようにTの字で車がぶつかる状態)」になる。ご承知の通り、アメリカ仕様車は左ハンドル。「急加速」する側の運転者の左側から、真っ直ぐに車が突っ込んでくることになる。アメリカは日本より、サイドインパクト(側面衝突)での車両規定が厳しい(近年徐々に日米間の差はなくなったが、小型車の一部ではまだ日米の差がある)ことも、こうした「とんでもない運転状況が日常茶飯事」なので頷ける。
こうした日常走行においてアメリカ人たちは、赤信号の交差点でも(!!)、「速く加速する車」を求めるのだ。
⑤市街地で強いられる急ブレーキ直後の急加速
上記のような市街地の3車線道路の法定速度は、45MPH(72km)が多く、住宅密集地では35MPH(56km)以下に落ちる。これでも日本の40~60kmに比べれば速い。だが、実質的にアメリカ人は50MPH(80km)で走っている場合が多い。
にもかかわらず、そうした道路に面して一般住宅、銀行、ファストフード店、ガソリンスタンドが立っている。つまり、一番右側の車線を走行していると、80kmから一気に完全停止状態まで急減速する必要がある。本稿最初に、アメリカがブレーキ主導型運転ではない、と書いた。だが、アクセル主導型だからこそ、急ブレーキを多用することになるのだ。
そして、前方でこうした急ブレーキを踏まれると(なかにはウインカーを出さない車もいる)、後続車も急ブレーキ。そして目の前の車が右折完了したや否や、本線の流れの戻るため「急加速」が必然となる。グズグズしていると、後続の車に追突されてしまう。日本のようにハザード(緊急点滅灯)をつけて後続車に知らせるなどというワザは(フリーウエイでは使うひともいるが)、市街地走行で使う気持ちの余裕(時間的猶予)などない。
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著者プロフィール
- 桃田 健史
(ジャーナリスト)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中
この連載について
「エコカー=日本の独壇場」と思っているとすれば、それは大間違いだ。電気自動車、ハイブリッド車を巡る市場争奪戦はこれからが本番。日本は序盤戦を制したに過ぎない。世界規模の取材でエコカー大戦争の行方を探る。
ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車の共存でビジネスモデルは混沌!トヨタ、ホンダ、日産、三菱など日本メーカーは世界で勝てるのか?年間飛行機移動時間が最も長い日本人自動車ジャーナリストが世界のエコカー事情を徹底取材。市場・インフラ、技術、政策、各社の戦略を詳細かつヴィヴィッドにレポート!
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