【第33回】 2010年03月09日
トヨタの電子制御問題に隠れた事実!
アメリカ人特有のアクセルの踏み方
②古いフリーウエイの土木設計上の欠陥
フリーウエイの法定速度高速化に伴い、フリーウエイの進入路では、本線の流れにスムーズに乗るための「急加速」が必然となった。近年に整備されたフリーウエイ進入路は直線に近く、助走距離も長い。だが、1950~70年代に基礎工事がなされたフリーウエイ(大都市内部や過疎地で多い)では、進入路の曲率が大きく(大きく回り込んでいる)、助走距離が極めて短いケースが目立つ。そのため本線の流れに乗るには「相当な急加速」が必要となる。しかも、そうした古いフリーウエイ進入路は路面も荒れている場合が多く、日本では想像出来ないような大きな路面の凹凸に、ハンドルを取られ兼ねない状況下で、「相当な急加速」を強いられる。
③市街地の道路幅による特殊走行
アメリカ東海岸、ニューヨーク、ニュージャージー、ニューハンプシャーなどヨーロッパ的な町並みが続く古い道路は片側2車線が多く、コンクリートによる中央分離帯が長く続き「なかなかUターン出来ないで困る」状況に陥る。
だが、アメリカ大陸を南へ、西へと進むと、それら都市の市街地や郊外では、片側3車線道路が常識化している。中央分離には緑地帯、または両車線から進入可能な右折車線となっており、コンクリートなどの障壁はない。こうした片側3車線、つまり全6車線+中央分離帯の合計20mほどの「道路全体幅」を、信号機のない交差点で、一気に横断するケースがよくある。
米テキサス州ダラス、米国の郊外では典型的な片側3車線の道路。信号機のない側道から、この3車線+中央分離地域+反対側3車線(合計20m程)を一気に渡ることは、アメリカでは日常茶飯事。自動車メーカーは、そうした実情に合わせた、アクセルセッティングをしている。 |
また、目の前の(右側通行のため、右進行の)3車線を一気に横断して、反対車線に飛び込むケースもよく見かける。その反対車線への飛び込みも、一気に一番右側車線へ飛び込むケースが多々ある。こうした動きを、「交通の流れがちょっと切れたスキ」に行う。その「飛び出してきて、一気に車線変更するタイミング」が、日本人の一般的な運転常識からは逸脱している。
側道からのスタート時点で、多くの人は「ほとんどフルスロットル(アクセルペダルを床まで踏む)」ような「急加速」をして、それを「急激な操舵(ハンドルを切ること)」と同時に、こなしている。さらに、自宅や勤務所周辺では、こうした「急加速+急激操舵」を携帯電話をかけながら、片手運転で行っているケースをよく見る。
④アメリカ特有の道路法規で、さらに危険となる交差点での右折
交差点での右折でも、上記③と同様な傾向がある。右折直後に一番右の車線に行かず、交差点を大回りして一気に3車線の一番左車線に「急加速」する人が多いのだ。ここで、アメリカ特有の大きな問題が生じる。それは、アメリカではNYマンハッタンなど一部地域を除き、各地方自治体の道路交通法上、赤信号でも「自己責任で右折可能」な点だ。
Special Topics
バックナンバー
- 第33回
- トヨタの電子制御問題に隠れた事実! アメリカ人特有のアクセルの踏み方 (2010年03月09日)
- 第32回
- トヨタ車の品質は本当に下がったのか? バッシングの嵐が覆い隠す問題の核心 (2010年03月03日)
- 第31回
- トヨタ叩きより日本の成長戦略を語ろう! スマートグリッドという金の卵の育て方 (2010年02月25日)
- 第30回
- 自動車業界に広がるトヨタ擁護論! プリウスのリコールは本来不要だった ~不条理なバッシングの餌食になった 企業の悲しい宿命 (2010年02月17日)
- 第29回
- トヨタや日産の敵?日本企業を惑わす 米新興電気自動車メーカーの本当の実力 (2010年02月08日)
- 第28回
- 世界に広がるリコールの波紋 第二のトヨタショックは不可避か (2010年02月02日)
Pick Up
新着トピックス
- 保田隆明 大学院発! 経済・金融ニュースの読み方
- デフレ時代の外食産業は本当に値段の安さが重要なのか
- 目標=1ヵ月でウエスト5cm減 あなたも挑戦!脱メタボへの道
- 1ヵ月弱でウェスト6.5cm減の驚異的結果はこうして達成された
- 金融市場異論百出
- 「やり過ぎ」とブーイングを 浴びるFRB、正反対の日銀
- 株式市場透視眼鏡
- 3月中旬以降、難題を順次消化 恒例の春相場が演じられる可能性
- 美人のもと
- 鯉
- チェーンストアエイジThe Interview
- 葛見久則・ウオロク代表取締役社長 “良品廉価”“戦いを楽しむ集団づくり”を実践し、売る力を育成する
- 吉田恒のデータが語る為替の法則
- 米雇用統計が「ポジティブ・サプライズ」でも ドル高は短命に!今週末は89円割れも!?
- 山崎元のマルチスコープ
- 上場企業は安定株主に甘えるな
- 辻広雅文 プリズム+one
- 富士通とトヨタに見る“日本的ガバナンス”の崩壊~なぜ取締役会は経営監督機能を果たせないのか
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 週刊ダイヤモンド アーカイブズ
- クリス・アンダーソンとロングテール理論をおさらい!ネットが動かしたニッチ商品の驚くべき市場規模
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 日本のテレビ業界が復活するには 「キー局の合従連衡」が待ったなし
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 成長のための資産運用の落とし穴
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- デフレに関する典型的な3つの誤解 ──今こそ必要なデフレの経済学(4)
- 公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略
- 不況と電子化が業績に直撃! キヤノン&リコーの来し方行く末
- 日本を元気にする企業の条件
- トヨタリコール問題がリスククマネジメントに残した“偉大なる”教訓
- 「測るための標準」を考える
- 紀元前2500年頃に造られたピラミッドの建築に当たっては、常に同じサイズの石を…
- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
著者プロフィール
- 桃田 健史
(ジャーナリスト)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中
この連載について
「エコカー=日本の独壇場」と思っているとすれば、それは大間違いだ。電気自動車、ハイブリッド車を巡る市場争奪戦はこれからが本番。日本は序盤戦を制したに過ぎない。世界規模の取材でエコカー大戦争の行方を探る。
ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車の共存でビジネスモデルは混沌!トヨタ、ホンダ、日産、三菱など日本メーカーは世界で勝てるのか?年間飛行機移動時間が最も長い日本人自動車ジャーナリストが世界のエコカー事情を徹底取材。市場・インフラ、技術、政策、各社の戦略を詳細かつヴィヴィッドにレポート!
- DOLブックストアで購入
購入金額に関わらず送料無料! - Amazonで購入
アクセスランキング
- 1位
- エコカー大戦争!
- トヨタの電子制御問題に隠れた事実! アメリカ人特有のアクセルの踏み方
- 2位
- はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
- 「負け組御用達スナック」の恐るべき魔力! 過去の栄光話から抜け出せない常連客たち
- 3位
- Close-Up Enterprise
- 富士通 野副前社長 “解任”取り消し動議の全真相
- 4位
- 日本人が知らないリアル中国ビジネス 江口征男
- 日本と同じ感覚では決して勝てない! 中国ビジネスで失敗しない“秘訣10ヵ条”
- 5位
- 業界別 半年先の景気を読む
- 富裕層ビジネス最前線! 不況でも勝ち残る高級ブランドの条件
Recommend 話題の記事
- 今週のキーワード 真壁昭夫
- 日本はギリシャの二の舞になるのか? 戦後最大の「大赤字予算」の行方
- Close-Up Enterprise
- 富士通 野副前社長 “解任”取り消し動議の全真相
- 日本人が知らないリアル中国ビジネス 江口征男
- 日本と同じ感覚では決して勝てない! 中国ビジネスで失敗しない“秘訣10ヵ条”
- エコカー大戦争!
- トヨタの電子制御問題に隠れた事実! アメリカ人特有のアクセルの踏み方
- SPORTS セカンド・オピニオン
- Jリーグで今季急増! 韓国人選手たちが日本に来る理由
- はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
- 「負け組御用達スナック」の恐るべき魔力! 過去の栄光話から抜け出せない常連客たち
- 元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学
- ルールは何のために必要なのか? 浅田真央vsキム・ヨナで感じた、「ルールづくり」の本当の意味
- 週刊ダイヤモンド『FREE』特集連動企画
- 独占インタビュー!『FREE』著者の クリス・アンダーソンが語る 「無料経済を勝ち抜く企業と個人の条件」
- 週刊ダイヤモンド『FREE』特集フリー素材集
- 週刊ダイヤモンド3月13日号 『FREE』特集のフリー素材集
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- デフレに関する典型的な3つの誤解 ──今こそ必要なデフレの経済学(4)
- 【PrimeTime】トップインタビュー
- 「サービス力は人財力と組織力の掛け算」~百瀬次生・日立電子サービス社長
- 【THEProject】プロダクトとサービス最前線
- 現実味帯びる「IFRS」。最新会計基準対応処理システムを低コストで提供
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。