【ロサンゼルス=丸石伸一】トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」が8日、米カリフォルニア州サンディエゴの高速道で減速できなくなったとの通報があり、トヨタと米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)がそれぞれ調査を始めた。リコール(回収・無償修理)の対象車だったが、販売店はユーザーの問い合わせを受けながら回収していなかった。
トヨタや米メディアの報道などによると、2008年モデルのプリウスを運転していた男性(61)は8日午後、高速道でアクセルペダルを踏み込んだ際にペダルが戻らなくなった。ブレーキは利かず、エンジンを切ることもできずに時速90マイル(約145キロ)超で走り続けた。
通報で駆けつけたパトカーがプリウスに並走し、警察官がパーキングブレーキをかけることなどを指示。時速50マイル(約80キロ)ほどまで減速したところでエンジンを切ることができ、パトカーがプリウスの前に出てようやく停止したという。
08年モデルのプリウスは昨年11月、アクセルペダルがフロアマットに引っかかる不具合により、ペダルを短くするなどのリコールが発表されている。トヨタによると、この男性はリコールの通知を受けて販売店に問い合わせたが、販売店は他の車より優先度が低いとして回収しなかったという。
ただ、現時点の調査では、フロアマットにアクセルペダルが引っかかっていたかどうかは確認できていない。リコールを担当するNHTSAも9日、原因究明のため、現地に2人派遣したことを明らかにし、原因次第ではトヨタが新たな対応を迫られる可能性がある。
一方、米下院エネルギー商業委員会は9日、トヨタの大規模リコール問題にからみ、公聴会を11日午前10時(日本時間12日午前0時)に開く、と発表した。NHTSAの監督体制について審議する目的で、NHTSAのストリックランド局長らが出席。トヨタの関係者は呼ばれていない。